第145話:終結

 じゃり・・・と砂を踏む音が鳴り、ジャーチは自分が子供に負け、断罪される事となったのが信じられない状態。


 体の自由が利かない為、顔だけ上げ睨みつけているのだ。


「睨んでも怖くないね。

 言っておくけど僕、SSSランクだから」


「っ?!」


 もはや言葉すら発する事が出来ないジャーチは、驚きの目でリョータを見た。


「まあドラゴンの王様から言われたからではないけれど、

 リッツェの子供や大人たちを殺した罪は重いよ?」


 人を殺すなど、経験する訳も無い時代に生まれたリョータではあるが、ここは異世界でファンタジー世界。


 人の命は簡単に失われてしまうのが当たり前な世界…そう言い聞かせ刀をジャーチの首元へと向けた。


「王様の言いつけを守って改心してれば・・・

 国に戻る事すら許して貰えたかも知れないのにね」


 リョータはレントゲンを想像して骨と骨の間に刀を入れられるよう、振り下ろし厄災のドラゴンと呼ばれ、逸れドラゴンに身を落としたジャーチは断罪された。


 刀に清潔魔法クリーンを掛け、鞘に仕舞ってからボックスへ収納。


 怪我で動けなくなっている騎士や先生たちに、次々と全回復フルリカバリーを掛けて行く。


「ドラゴンさん、ワイバーンの隊長さん、

 駆けつけてくれて有難う御座いました」


『いえ。

 時間が掛かり過ぎ逆に申し訳ありません』


「ううん。

 来てくれただけでも助かったから」


〖ジャーチを国外追放になどせず、

 その場で断罪しておれば・・・

 多くの命が失われてしまう事は無かったであろうに…〗


「ドラゴンの王様、

 反省はしても後悔はしないで下さいね?

 人々に刃を向けたのは逸れドラゴンで、

 厄災のドラゴンだったってだけだもん。

 王様に罪はないよ?」


〖そうは言うが…子供らも犠牲になっておろう?〗


「・・・うん…

 僕が1日だけ滞在した孤児院の生存者は2人だった」


 悲惨な現場となっているであろう孤児院を元に戻すのは容易いが、事件現場を残すのは…とリョータは思ってるのだ。


『では我々は戻ります。

 が何かあった時に駆けつけるまでの時間が惜しいですから、

 何処かに拠点を作っておきましょう』


「いくら何でも・・・

 もう厄災のドラゴン級の魔物は襲撃ないでしょ?」


『襲撃は皆無かも知れませぬが…

 リョータ殿は危機的状況に

 おちいっておられますでしょう?』


「うぅ…それね…

 巻き込まれ体質だったんだよ。

 それを回避できるようになった筈なんだけどぉ・・・

 なってなかったんだね」


 がっくりと肩を落としたものの、逸れドラゴンの遺体を片付ける必要があるのだ。


「リョータ君、その…ドラゴンなのだが…」


「あ・・・れ?

 人化してたのに元のドラゴンになってる?!」


 首が無いドラゴンが広場の中央に横たわってるのだ。


「ギルドに持って行けば素材となり、

 大金が手に入る筈だから持って行きなさい」


「はぁ~い」


 マジックバッグに入る最大の量は本来、ドラゴン1体では無いのだが、先生もリョータも思考がパニック状態だった為、疑う事が無かった。


 なので、アイテムボックスを持っている…等とバレる事なく回収する事が出来た

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