第142話:格闘(3)~騎士団vs厄災のドラゴン~

 解凍すると何が起きたか判らぬドラゴンが目の前のリョータを踏みつけるべく、素早く体を動かした。


「おっと」


 それ以上の動きで踏みつけられる事を回避したリョータ。


 そこへ小桜と共に騎士団が駆けつけて来た。


「大丈夫…なっ?!ど、ドラゴンだとぉ!?」


「気を付けて下さい。

 そのドラゴンは厄災のドラゴンと言う異名を持っており、

 ランクは最高です!」


「くっ!(これは死闘になってしまうかも知れないな)」


 騎士団と言えどBからAまでの者が多く、Sは団長1人。


 対峙するにしても手が足りなさ過ぎたのだ。


 ドラゴンは駆けつけた騎士たちを先に倒した方が早いと考え、軽くブレスを吐き出し、逃げ遅れてしまった数人が巻き添えとなり、戦力がガタ落ちしてしまう。


 猛毒ポーションは胃まで達している事は把握済みではあるが、小規模ブレスまでは抑えきれなかったようだ。


(数分じゃあ毒が全身に回らないって事か)


 体躯が小さい事を利点にしてリョータはドラゴンの足元へと駆け寄り、柔らかい腹の部分に剣を切り付けて行く。


 切り付けた感覚はあったものの、表皮が傷ついただけで損傷を負わすまでに行かなかった。


 あれま、力加減(小)だと表面切れないのか。


(小桜、聞きたい事があるんだけどさ、

 アイツをドラゴンの姿では無く、

 人型に戻したら対応できるかな?)


【確かに、鱗などが固く、

 今の体躯では太刀打ちは難しいでしょう。

 ですが人型ならば…何か策があるのですね?】


 うん、成功するかは判らないけどね。


 しないよりはマシでしょ。


 戦力として残っているのは、リョータと団長を合わせても5人程度。


「はははは!

 やはり!やはりオレこそが最強のドラゴンぞ!!」


「は?厄災のドラゴンと言う異名を持った、

 ドラゴン国から追放された逸れドラゴンの間違いでしょ?」


「な、何故その事を・・・

 お前のような子供が知っている!」


「さぁね~」


(隊長さん、どれくらいで魔法学校に来れそうですか?)


『そうだな…あと数分って所だが、

 何とか耐えてくれてるか?』


 一応ね、逸れドラゴンを少し前に凍らせたから、時間稼ぎにはなってると思う。


 その時に猛毒ポーションを流し込んだけど、どれくらいで効き目が出るか…。


『…凄い魔法とポーションを持っていたのだな』


 まあ実験的に作ったポーションで、100%使う事はないと思ってた代物だしね。


『ならば我々が駆けつける頃には何かしら、

 症状が出ているかも知れぬな』


 だといいけど。


 騎士5人とリョータが縦横無尽に走り回りながら、剣を体に打ち付けているからだろう。


 ジャーチは焦点を当てられなくて苦虫を噛んでいるようだった。


「くっ…どいつもこいつも馬鹿にしおって!」


 体躯が大きいから狙いを定められないのだと思ったジャーチ。


 リョータの狙い通り、人型へと戻って行き騎士3人に怪我を負わせ戦力を削られてしまった

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