第247話:リョータへの打診

 料理長の言質を取ったルーカスは私室へと戻り、リョータへ魔法便を飛ばす為、文章をしたためて行く。


「彼は確か魔法の寮に暮らしていたが、

 あまりにも絡まれてしまうが為、

 自宅からの通学になった…と言っていたな。

 となると寮では無いならば

 何処かで我が家の馬車を待って貰わねばならんな」


 1つ目の問題は、リョータに迎えの馬車を用意したとして「何処で待ち合わせるか」だ。


 次に問題となるのは両親だ。


 侯爵家の跡継ぎとなる息子が「平民」のしかも「元家畜の餌」を口にする…などと聞かされたら確実に反対してしまうだろう。


 ただ、料理長がリョータから習い、作れるようになれば、執事に試食して貰い、問題ないと言質げんちを取れれば今後、料理の1つとして出して貰える「可能性」があると思っているのだ。


 勿論、許可が下りない可能性も残されてはいる。


 いるのだが「料理長の太鼓判」があれば、執事に対しての試食は許可して貰える可能性はある。


 呼び出しの文面としては白米の作り方と作れるのは三角の形をした品だけなのか、あるいは他の食し方があるのかを教えて貰えれば良いな…と考えを巡らせ文章にしようとしたところで「何時にするか」聞いてなかった…何時にしようか、と悩み始めた所で


「ルーカス様、

 教えて貰う下級生でしたか、

 何時、来る予定ですかい?」


 とメイスンが日時を確認しに来てくれたのだ。


「すまないな。

 日時を設定してなかったね。

 何時でも良いなら

 彼の都合が良い日に来て貰う事にしようか?」


 馬車を待たせる場所は判りやすく学校の騎士寮にすれば間違い無いだろう。


 あとは「何時」にするかではあるが、メイスンも何時でも構わないと答えてしまい、ルーカスは困り果ててしまう。


(さて…何時が良いかな?

 両親は屋敷にいるから誰かが訪ねてくれば、

 自ずと聞かれてしまうだろう。

 ならば先んじて平民の食事が美味しそうで

 食べたいと望んでしまい、

 料理長が…と言ってしまおう)


 文章を書いて行き、希望日時は1週間後の午前中と書き込む事にし


「じゃあメイスンが教えて貰う日時として、

 1週間後に来て貰う事にしよう」


「判りやした」


 周知させる人物は執事とメイドと両親。


 先ず話を通さなければならない両親に事の次第を伝えると、意外や意外・・・何と「許可」が下りたのだ。


 執事にも伝えられ、メイドにも平民が来る事が通達され、1週間後の訪問に際しての準備が整えられた。



~~~~~~~~~~

   リョータ殿


  フェルナンデス家の料理人が

 試食した所、

 驚き即決で教えて欲しいと望んだので

 1週間後の午前11時頃、

 騎士寮の入り口で待っていてくれないだろうか?

 我が家から馬車を出させて貰うので

 それにて訪問して欲しい。

 三角の形以外にも

 作れる品があれば知りたいと言っているので

 教えて貰えるのなら是非、

 頼みたい。


          ルーカス・フェルナンデス

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