第173話:ダンジョンアタック(1)

 前回、誰にも報告せずに挑戦したダンジョンが「最上級」だった事を考えれば「初心者用ダンジョン」は「見当たらない可能性」も考えられるか?


 そう思ってしまうのも仕方ないだろう。


 リョータはアヴェルで推奨ダンジョンを「教えて貰える状態」ではない為、ティングのギルドからダンジョンを探しながら移動しなければ、ならなかったからではある。


「アヴェルの領主様から手配されてなければ、

 お勧めダンジョンを教えて貰う事も出来たのになぁ~」


 もうボヤくしかなかった。


【そうですわね…。

 冒険者が行き来する領地を預かる侯爵でしたか、

 その方が禁止事項を知らない訳ありませんもの。

 それにも関わらず、

 あるじから従魔を譲って貰おうとしてましたものね】


「百歩譲ってさ?

 娘が知らずに欲しがって、

 それを駄目だといさめるなら未だしも、

 一緒になって欲しがったもんなぁ…」


「【はあ…】」


 1人と1匹が盛大に溜息を吐き出すほどに「うんざり」しているのだが、目下の目標は誰も挑戦していないダンジョンを見つける事。


 未発見のダンジョン…と言う訳ではなく、同じダンジョンをパーティと個人で挑戦すると「いざこざに発展する」からだ。


「さっきからダンジョン入り口らしき場所を見つけてるけど、

 テントが設営されてるな」


 見える範囲には2つのダンジョンがあるようなのだが、どちらもテントで挑戦中である事が示されているのだ。


 森の更に奥地へと向かいながら検索サーチを使って「誰も挑戦してない場所」を探している。


 ようやく「それらしい場所」を見つけたのだが、検索結果に目が点。


 何コレ・・・迷宮ダンジョン超簡単・・・ッテ書イテアルンデスケド…。


「簡単すぎて誰も挑戦してないからか・・・?」


 いないなら「ま、いっか」と思い、小桜を影に控えさせて中へと入って行く。



* * * *


 1層目には何処ぞで見た事があるスライムがわんさか。


 青い物体が出た瞬間、前回と同じスライムか~…とは思ったのだが、1階層に多くいなさそうなスライムを倒して得たドロップアイテムは


「・・・プラスティック・・・って何だよ!」


 突っ込むしか出来なかった。


 まさかまさかの素材、これを加工して売れるか?などと腹黒い思惑は、頭の片隅に追いやり2層目に入って行く。


 入った瞬間、思った事は


「これ、完全にあのゲームを模倣してるだろ!」


 キノコのような生き物が迫って来て、ジャンプで回避できるよう浮石が点在。


 浮石を頭で壊せば硬貨コインが出て来るゲームと違い、宝箱が浮石に置かれているのだ。


「やべぇ、スーパーなマリオのB.G.M.が流れて来る」


 ついでにピコンピコンとコインを叩く音まで脳裏に浮かんで来る始末。


 あの姫が出て来たりし・・・げふん。


 最初こそスライムだったのだが、キノコなアレと亀が出て来て、足に噛みつく花すらいるのだから、模倣しただろ?!と思いつつ、堪能してしまうリョータである

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