第150話:小桜お怒りモード

 学校は厄災のドラゴンが来た影響で、修復せざるを得ない場所が多く点在しているらしく、休校となり、俺は森の中に作った家で「ぐで~」と体を休めようとギルドを出たのだが…


【あ~る~じ~?】


 小桜が不機嫌丸出しで「お座り」していたのだ。


 うぐ…。


 す、す、すまん(スライディング土下座しそうになるくらいに怖い)


 忘れてた…綺麗さっぱり頭の片隅にも「召喚してた」事が「綺麗に抜けてた」から小桜に助けを求める事を忘れてましたぁ!!


 周囲に人がいないとは言え、従魔に土下座している様子を見られたら何を言われるか判ったモンじゃない。


 念話で謝罪の言葉を羅列する以外、回避不可能な状態となってしまっていたのだ。


【いくらラスボス級に強いと言っても、

 わたくしたち従魔に助けを申し出て下されば、

 あそこまで手こずる事はありませんでしたわよ?!】


 そう・・・なんだろうけどっ!


 綺麗さっぱり召喚する事も小桜を呼んでいた事も忘れてたんだよぉ。


 半泣き状態のリョータは自宅を用意した森への道を悲壮感たっぷりに歩いている。


【…まったく…。

 どうしてあるじは「おっちょこちょい」なのかしらね】


 小桜の言葉はリョータに取って最大級のダメージとなっている。


 小桜許してぇ~、忘れてたのは本当ぉーーーに悪いと思ってる。


 思ってるからぁ~~~。


 そんな怖い顔しないでぇ。


 冷や汗がたらり…と背中を伝っているのだが、それすら凍らせてしまいそうに冷気が見えてる気がした。


「お?!リッツェを守り切った勇者と従魔じゃねぇか!

 多くの犠牲が出てしまったが、

 子供や巻き込まれなかった大人を助けてくれて有難うな!」


 森側の門番さんが俺に声を掛けてくれてるのだが、返事が出来ないくらいに真っ青な顔になってしまった。


(小桜を怒らせたら怖いって覚えとこーっと)


「リョ…リョータ?!

 お、おい!大丈夫か?」


「ダイジョウブデス(大丈夫です)」


 カタコトで大丈夫と言われても信じられる訳もなく、その原因がリョータの従魔だと言う事にいち早く気付いたのは別の門番さんだった。


「確か…フェンリルで小桜と名前を貰っていたよな?

 君が騎士団にメモを配達してなかったら、

 リッツェは人々が消え廃墟と化してただろうな。

 影の英雄は小桜殿だな」


 そんな事を言われたからなのか、小桜は目を見開き、英雄だと言葉を掛けた青年に目を向けた。


【ま、まあっ!

 そんな事…有りませんわよ?

 わたくしはあるじに頼まれたから、

 騎士団へメモを持って行っただけですし…】


 小桜の言葉は聞こえて無いのだが、何を言ってるか理解できた様子。


「謙遜しなくていいぞ?

 それにリョータが何かしたから怒ってるんだろうが、

 あまり怒らないでやってくれ。

 そいつがワイバーンやドラゴンの王と知り合いでなければ、

 襲来したモノを倒せてなかったんだからな」


 どうやらワイバーンとドラゴンの王が「倒した」と言う事「だけ」が伝わっているようで、リョータは内心「ほっ」としたのは言うまでもなく、小桜の怒りは門番によって削がれてしまった

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