第151話:諺(ことわざ)を目撃?

 自宅として建設した森の家に転移で戻り、小桜の怒りが収まってくれる事を願って土下座で謝罪したのだ。


「小桜姫さま、ほんっとーに

 すみませんでしたぁ~~~~」


 土下座で頭を床に付ける様を見せられた小桜は、どうすれば良いか戸惑ってしまう。


【あ、あるじ?!

 そこまで、そこまで怒っていませんわ。

 どうか頭を上げて下さいませ】


 逆に焦った小桜は怒っていた気持ちは引っ込み、オロオロとしてしまったのだ。


「許して…くれるの?」


 まるで捨てられた子犬が如く、ウルウルと瞳を潤ませて見上げる主人を許さないなど、出来る筈が無い。


【もう襲撃などは皆無でしょうけれど、

 手伝って欲しいと願う出来事があれば必ず、

 わたくしたちを呼び出して下さいまし】


 よ、良かったぁ。


「ありがとう小桜」


 他の従魔たちも外で呼び出し、自由にして良いと伝え、リョータはスマホを立ち上げ「ハンモック」を入手する事としたのだ。


 憧れだったんだよなぁ。


 森の中でハンモックに揺られて読書…くぅ~!


 究極の「ダラけ休日」だな。


 ワキワキと購入画面から好みの柄を探しながら、玄関先に腰を降ろそうとした。


            ドサッ…


「ん?!今、何か落ち・・・うわっ」


 座ろうとして落ちた方に顔、向けたモンだから体制崩してコケてしまった。


【主?!】


 だ、大丈夫。体制くずしてコケただけだから。 


[{ご主人様!キツネザルが木から…}]


「サルも木から落ちる…

 じゃなくサルが木から落ちたぁ?!」


 改めて音がした方向に目を向けると、そこには子ザルを胸元に抱えた母親サルが、血まみれ状態で横たわっているのだ。


 大丈夫か!?


 と念話を使い呼びかけたのだが…


<この…子を・・・お願い…>


 回復魔法を掛ける暇もなく母親は命を落としてしまった。


「これは・・・」


 傷口を見て「何が原因で死に至ったのか」が判明した。


 どうやら面白半分に人間がサルに向かって魔法を放ち、その結果、大けがを負ってしまい逃げて来たが、リョータの森まで来るのが精いっぱいだったようだ。


 くそっ…!


 魔法の練習台にしたのか否かまでは鑑定で出なかったが、許せないな。


 胸元にいる推定1歳くらいの子ザルを親ザルから引き離し、近い感触のタオルに抱き着かせた。


「子ザルの育て方なんて知らんが、

 俺のスマホで調べれば何か判るだろうか…」


 子ザルも少しばかり弱っているようなので、治療ヒールを掛けてやるとスヤスヤと寝息を立ててくれた。


【主…】


 小桜は悲壮感漂う主人に、それ以上の言葉を掛ける事が出来なくなった。


「権太、ゴマ、琥珀、こむぎ、小桜、

 みんな、この子を育てる手助けを頼んで良いかな?」


『[≪{<【勿論ですわ】です>!}!]!≫!』


「取り敢えず動物用ミルクより、

 人のミルクの方が良いかな?」


(その方が宜しいかと存じます。

 その種は人に最も近いと言われるキツネザル。

 乳飲み子ならば人と同じ品で大丈夫かと…)


 ギルドに行けば詳細を記した本があるかもだけど、今は応急的に粉ミルク、用意しておくか

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