第432話:何を教えるか考え、団長に相談

 レシピ…と言ってもリョータは簡単なレシピしか知らず、主婦のようにアレやコレと出せる程では無いのに教えて欲しいと願われてしまい、内心は困って居た。


(困ったな…俺が作れる飯レシピって言ったら、

 簡単チャーハンくらいだし…

 主に使ってたのは入れるだけで出来てしまう

 「何とかの素」って奴だもんな)


 リョータは1人暮らしをして居たと言っても、簡単にサクっと作れてしまう「卵かけご飯からのチャーハン」とか「炊き込みご飯の素」のような混ぜるだけで、炊き込みご飯が作れてしまう品を良く使って居たからだ。


 考えるのが億…げふん…面倒な時にはコンビニ弁当やサンドイッチを買って夕飯や朝食にして居た。


 単純に「卵かけご飯」と「味噌汁(と言っても湯を入れるだけのヤツ)」プラス、コンビニ総菜…と言う時すら有った。


 それなのに、料理を教えて欲しいと言われて困り果てたのだが


「…ちょっと待てよ?

 クックサイトならレシピ(時間経過は止まって居ても)有るよな?

 作り方を見るだけで判るヤツなら伝授できたりする…?」


 料理投稿サイトならば、最新バージョンではないにしろ、リョータが飛ばされた時間帯に掲載されて居た品なら作り方や材料は見れる筈。


 例え日本の材料しか書かれて無いとしても、野菜を扱って居る施設で名前を見せて貰うのは有りか?と腹黒く考えたのだ。


「教えるとして卵チャーハンと炊き込みご飯くらい…か?

 ああ、オムライスも作れそうだな」


 リゾット、おかゆ、どんぶり、混ぜご飯と、思い出せる範囲で出て来た言葉は、それくらいなのだが、どれもが材料を変えさえすれば増やせる程、多数そんざいする。


 卵チャーハンに海鮮を入れれば、海鮮チャーハンになるし、コーンを入れればコーンチャーハンと…手抜きしかしてないリョータでも作れるのは、それくらい。


 リゾットは好きでは無かったので、除外したとしても丼になれば結構な数(名前だけだが)出せる。


 おかゆ…は病気の時には活躍しそうだが、魔法の有る世界で、治療魔法が有る世界では役立たないかも知れないな…と除外対象にし、教える候補に入れたのはチャーハン、どんぶり、混ぜご飯となった。


「さて、行く日を打診しないとな…の前に団長さんに相談だな」


 学ぶ事が少ないとは言え、学生の身分は変わらない為、料理指南して欲しいと望まれては断る事は難しいと思ったので相談する事にしたのだ。



 * * * *


「団長さん、相談が有るんですけど…」


 ちょうど団長の執務室を訪ねようと移動し始めたリョータの目の前に、団長が姿を現したので、誰も居ない廊下で声を掛けたのだ。


「リョータか。異例とは言え、

 合同学級となってしまって申し訳ないな」


「仕方ないと思ってますよ。

 規格外のSランクですし…」


「相談…と言って居たが、その事か?」


「いえ、侯爵家の料理人さんから料理を教えて欲しいと打診されまして…」


「・・・は?侯爵家のシェフがリョータに?!

 どっ…どういう事だ!?」


「あー…えーっと…団長さんに弁当を持参して良いか…

 と聞いた時の事、覚えてますか?」


「ああ、確か握り飯だったか?

 それを作って来…まさか…」


 団長は自分が10個の握り飯を願い出た時の事を思い出して居た

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