第433話:限定の許可
思い出した団長はゴクリ…と味を思い出したのか唾を飲みこみ
「…そう言えば、あの後からか、
爵位を持つ各家で白米が食され始めたのは…」
「売れてると言うのはサミー嬢と交流が有った為、
知ってましたが…爵位が有る全ての屋敷まで広がったのは…
知りませんでした」
「まあ何も味付けしてないのに美味ければ、
流行ってしまうのは仕方ない。
白米のレシピを追加して欲しいと願われた…
と言う事だな?」
「えぇ…そうなると教えたレシピが、
爆発的に広がりますよ…ね」
単純に教えられそうなレシピだけを伝えるつもりで居たが、リッツェの爵位持ち全てに知られてしまうカモ知れないと想像でき、困惑してしまう。
「商業ギルドにレシピ登録してしまえば、
次々と依頼される事は無くなるぞ?」
「それも心配しなきゃ・・・」
それ「も」と言われ「ん?」と思った団長。
「も・・・?他に心配事が有るのか?」
「…商業ギルドでは、
嫌な経験しかしてなくて…」
「あー・・・何となく理解できた。
まあ侯爵家の料理人に教えるのなら、
その料理人が登録して良いか?
と聞く可能性が有るから、
便乗すれば良いだろう」
「教えに行く日時は、これから聞くけど、
その間、学校での扱いはどうなるの?」
そう、一番しんぱいしなければならないのが、リョータの扱いだ。
出席扱いになるのなら良いが、日本のように授業日数不足や単位不足で留年…なんて事も有るのでは?と心配なのだ。
「ああ、特別許可を出そう。
教えに行く日数が数日になるだろうから、
来れなかった日は、出席扱いにしておこう」
「え…特別扱いされたら又、
何かしらされたりしない?!」
「流石に…」
そこまで言って、これまでリョータが「巻き込まれてしまった事柄」を思い出し
「有り得そうだな…」
と「無い」事を断言できない未来しか見えず、溜息を吐いた。
「とりあえずは、フェルナンデス家に訪問の日時を聞きますね」
「ああ、そうしてくれ。
リョータが訪問して居る間の事は、
上級生や副団長を含めて検討しておく」
何とか行けそうな雰囲気にはなったが、留守中の扱いに若干の不安を抱えたリョータは、フェルナンデス家へ「レシピ指南の訪問日時」を聞く手紙をしたためる事にしたのだ。
* * * *
さてと…まずは手紙を受け取った事から書き始めた方がいいか?
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フェルナンデス家 料理人様
手紙を拝読させて頂きました。
新たなレシピの指南をする事を了承したいのですが、
訪問可能日時をお知らせ頂かなくてはなりません。
いきなり訪問して駄目では二度手間になりますし、
フェルナンデス家の都合も有るかと存じます。
訪問日時をお知らせ頂けたとして、
そちらへ向かう足は、
自分で手配する必要が有りますよね?
屋敷までの辻馬車が有るのか知らないので、
訪問方法も教えて頂ければ有難いです
リョータ
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