第266話:作った後に思い出し・・・

 まるで市販の望遠鏡で遠くの山を見てるような感覚が生じ、スキル取得に成功したと知る事が出来たのだが、構築している最中、思い出した事があった。


(あ・・・俺ってスマホで双眼鏡やら望遠鏡・・・望めば買えるんだった)


 内心の頭はガッカリしたように頭を下げてしまったのだが、周囲に人がいる為、表面上の顔色は変化させる事なく、淡々と作業しているように装った。


(まあ「覚えられた」から良かったと切り替えて、持ち運びできる望遠鏡・・・海賊映画とかに出て来る、望遠鏡は持ってて疑われない…か?

 もう一度、雑貨屋に寄る必要が出て来たな)


 オネェさんがいる雑貨屋で探すのもアリだろうが、まさかな事態で大行列が作られている様を見る羽目になるとは思ってもいなかった。


 縮尺できる望遠鏡が異世界こっちにあるのなら、近い日本製を購入するのもありだと思っている。


 何とかテント設営を終えたリョータは、小桜に守りを頼み、テントの中へと入って行き、ベッドルームへと向かったのだ。


 そんな姿をニヤリと見ていた阿呆がいるのだが、相手がSで使役してるのがフェンリルなど露ほども知らず襲撃を試みようとしている。


(ふふふ…ようやくテントに入ったか。

 こうなれば使役している魔物もテントも奴から奪い取って、

 オレ様のモノに出来る可能性が出て来たな。

 あんな子供に贅沢な屋敷クラスのテントなど、

 勿体なさ過ぎるわい)


 そう…その阿呆は自分の収入では決して購入する事が叶わない中級クラスのテントが欲しくて仕方なかったのだが、ランクが上がらず資金も飲み代に消え、貯めて希望のテントを買う…と言う事すら考えてなかった。


 だからこそ、リョータを襲撃し、弱らせて奪えば自分のモノに出来ると「思い込んでいる」のだが、強者なリョータと小桜に完膚なきまでに叩きのめされてしまう…などとは思いもしてないのだ。


~寝室に戻ったリョータ~


 あ~…狙われてんなー…俺が購入したテントと小桜と俺の命。


 気付いてるよね?小桜…。


【勿論ですわ。

 この阿呆…わたくしの事をフェンリルとは思ってないらしく、

 虐げられているであろう品種・・・

 犬だと思ってるみたいですの】


 …馬鹿そうだもんねー…俺のランクは「知れ渡ってる」可能性あるってのに、それすら気付く事なく、ここにいる時点で「強者」の可能性を導けてないもんね。


 まあ襲撃して来た瞬間に反撃すれば口ポカーン…じゃ済まないだろうけど、周囲の冷たい視線浴びて貰うか。


あるじ…久方ぶりに腹黒ですわね】


 ワンコっぽく姿を偽装している小桜から指摘されたとしても、自分の命も小桜とテントも渡すつもりは無い…と言う事に変わりはなく、リョータは襲撃される方法として予測したのは、2種類。


 1つはテントを外から叩き中にいる人物を圧死させる、2つ目はテントの中に入って来て寝込みを襲う方法。


 どちらが確実性があるか?と言われると2番目だろうと踏んでいる。


 何しろ周囲の目…と言うのが存在する限り、テントを叩き潰し、中の人物を殺す事など出来ないだろうと思っているからだ。


 その阿呆…リョータが思った通りの行動をした為、盛大な「ざまぁ」が発動してしまう事になるのだ

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