第117話:事の顛末(2)

『そやつはリョータと呼ばれる途中入学した生徒に、

 負け続けておるのだ』


「それは一体どういう事ですか?」


『事の始まりは魔法陣の宿題と呼ばれる事柄だそうだ。

 3種の魔法陣を提出したそうだが、

 そやつは許可が下りなかった。

 だがリョータは3種、

 全てに許可が下り1番で無い事が許せないと思い始めた』


「・・・我が息子ながら馬鹿だ・・・」


「なっ?!父上!?

 父上から何に対しても1番であるよう言われ、

 守っていたのですよ?!それを馬鹿とは…」


『続けるが、

 そこから一気にリョータへの人気が高まって行ったようだな。

 魔法陣を展開し何かを召喚した時でさえ、

 そやつは魔物、リョータは精霊と言う始末。

 決定打となったのは、

 どうやら中間試験の結果らしい』


「・・・1番の意味を履き違えるとは…。

 成績で1番になれ・・・と言う意味では無いわ」


「は・・・?」


「魔術師として1番になれ、

 では無く魔術師としての1番手になれ、

 と言う意味だ馬鹿者」


「・・・う・・・そ・・・だろ?」


「閉じ込めた生徒は何処にいる?」


「・・・言いません…」


『言わぬと申すのだな?』


 ぞく…と悪寒がマッシュに走る。


 その殺気を放ったのはワイバーンとドラゴン。


「いっ・・・言いたくない・・・」


「・・・馬鹿だから無理だよドラゴンさん」


「「「「リョ、リョータぁ?!」」」」


 閉じ込められている筈のリョータが、皆が集まる場所に姿を現したのだ。


「マッシュくん、

 あの程度では僕を監禁できないよ?」


「なっ?!何で出れたんだぁ!?」


「だって入り口

 魔法陣で出られなくされてたけど、

 僕の部屋って1階なんだよ?

 森側の窓は無防備だから出られるさ」


「「「「…馬鹿だ…」」」」


「・・・(忘れてたっ!)」


「リョータ殿、我が愚息が申し訳ない」


「謝罪は不要ですホワイト子爵様。

 事を起こしたのは本人です。

 本来なら、彼が謝罪しなければならないのですから…」


『そうだな、リョータを監禁したのは、

 そやつで被害を被ったのはリョータだけではないしな』


 そうワイバーンとドラゴンが襲来した理由はリョータの監禁を知らせる為であって、監禁したのがマッシュであると知らせる為なのだ。


「まさか…まさかと思うがワイバーンとドラゴンが来たのは…」


『リョータから助けを願われたワイバーンが、

 我にも助力を願った事が理由だ。

 一番の理由はリョータの監禁をそやつがした、

 と言う事を知って貰う事が目的ではあったがな』


(ありがとうワイバーンの隊長さんとドラゴンさん。

 後の事はこっちで処理するよ)


〖困った事があればいつでも呼んで欲しい。

 私の名前は無いのでな、

 呼ぶ際は隊長で良い〗


(わかった~。ドラゴンさんも有難う)


{良い良い。そなたが無事ならばな}


 ワイバーンとドラゴンは任務を完了したからなのか、何も起こす事なく飛び立って行った。


 その場に残されたのは、怒りを顔に表した子爵と怯える息子、そして生徒たち。


 リョータも加わって最大級の「ざまぁ」が発動する事になりそうだ

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