第116話:事の顛末(1)

 ワイバーンにお願いして数十分…。


        緊急事態発生、緊急事態発生…

     上空にワイバーンが襲来しました。

     それだけでなくドラゴンも襲来しております。

     1年生のリョータくん、ならびに2年生から5年生諸君

     大至急、集まって下さい!繰り返します…



 お?意外と来るの早かったね~。


あるじがいない事に気付くでしょうか?】


 気付くだろうね。


 ワイバーンが棘を抜いてくれって言いに来た時、上級生いた訳だし、同級生が奴の動向を見てた可能性あるだろうからね~。


【もしかして不穏な空気と言うのでしょうか、

 そう言うモノを感じ取って下さった?】


 可能性あるよ。ま、奴がワイバーンと対峙できるとは思わないけどね~。


 しかもドラゴンもいる訳でしょ?


【…ワイバーンに対応できたとしてもドラゴンは無理ですわねぇ…】


 一応ワイバーンに忠告しとくか。


 聞こえる?


〖はい。到着しましたが、

 気づいて貰えて無いですね〗


 うん、それもなんだけど、君を狙う阿呆がいるから気を付けてね。


〖何とも馬鹿な奴がいるのだな。

 そなたなら我らを倒す事が出来るだろうが、他の魔術師は…〗


 無理だろうね~。


 でも気を付けておくに越した事はないからね。


〖肝に銘じておきましょう〗



 * * * *


 襲来したワイバーンだけでなく、ドラゴンとも対峙しなければならない状態に、先生と上級生は右往左往していた。


「リョ、リョータ君は何処だ?!」


「何故、彼がいないのだ!?」


「先生!私が対応しましょう!」


 まるで自分が一番、魔法にけているから任せてくれと言わんばかりのマッシュに、怪訝な目を向けたのは上級生。


「・・・お前は確か、

 中間試験の3位に落ちたマッシュ・ホワイトだな?」


「は、はいっ」


 上級生に声を掛けられるなど普通は有り得ないのだが、掛けられて緊張した面持ちで答えるマッシュ。


「その程度でワイバーンとドラゴンに対応できると言う自信、

 何処から来るのか知りたいのだが?」


 彼は魔法を極め5年生で主席と言う立ち位置にいる為、目標とされる先輩で、マッシュの力を見極めているからこそ質問したのだ。


「そ、それは彼が平民で私は貴族ですので、

 魔法に関して誰にも負けはしませぬ」


 それを聞いたワイバーンはピンポイントで攻撃をマッシュに「だけ」向けた。


「ぎゃぁ!」


「・・・これしきの攻撃すら防御できない癖に何が負けないだ」


『そやつは我の友を監禁しておるのだ』


「監禁…?

 まさかリョータと呼ばれる生徒がいない理由は、

 彼が閉じ込めたからなのか!?」


『左様。

 どうやら魔法陣が張られておるようだ』


「何て事をしたんだ!

 今すぐ魔法陣を開放しなさい!!」


 ワイバーン…では無く、指摘したのはドラゴン。


 意思疎通が出来ると知られているからこそ、ワイバーンは助力を願い出てくれたのだ。


「・・・やだ・・・」


「何?!」


「嫌だっ!

 あいつは私の地位を脅かしたのだっ!

 そんな奴をのさばらせたくないっ!!」


 マッシュが生徒を監禁した、と知った瞬間に彼の父親に連絡が飛び、転移の魔法陣で駆けつけ盛大なゲンコツが落とされる。


「馬鹿者がっ!!!!」「いっ?!」


「魔術師としての恥を知れ!」


「ち、父上ぇ!?」


「魔法を・・・魔法を監禁に使うとは馬鹿者めが・・・

 その生徒は何処だ?」


「・・・」


 だんまりを決め込むマッシュ。だが


『そやつは答えぬ』


 とドラゴンから答えぬ理由が明かされて行く

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