第341話:屍食鬼(グール)vsリョータ+ブラッド

 屍食鬼グールの物理的攻撃手段は素手…魔法を使えるのだろうが、自分の手でリョータを殺したいと言う思いが強すぎて、考えに至っていないようだった。


「うわっ!マジかよ…魔法で攻撃して来ると思ってたのにぃ」


 強化されているのだろう、ヤツの腕は鋼並みで刀が刃こぼれしそうになっている。


「はあっ?!異世界あっちで最強だと言われてる刀が刃こぼれする…

 だとぉ!?」


 瞬時に鍛冶師に知り合いがいない為、刀をボックスに戻し、冒険者として活動する時に使ってる剣を取り出し魔法をまとわせる。


 これ…雷をまず付与してみないと何が有効か判らないな。


「リョータ!」


「へっ?!ブ、ブラッドさん!?何で…

 危険だよ!」


 ヤツの右側後方からブラッドの声が聞こえ、瞬時に反応してしまったリョータだったが、ヤツはリョータに興味を抱いてない様子。


 後方にいるブラッドには一切、視線を向けず、只管ひたすらリョータを襲撃しまくっている。


「ソイツの弱点はあるのか?!」


「小桜が言うには右手の魔物が魔力を貸してるっぽいです」


 リョータを右手で殴っている屍食鬼なのだが、全くリョータに当たっていない事を腹立たしく感じてる様子が伺えた。


「何デダ!何故、コイツニ一撃ヲ加エラレナイノダ?」


 そりゃそうだろ、俺…表向きはSになったって言われてるけども…本当のレベルは4Sだよ?


 まあ、このままSだって言い張って対峙するより、白状した方が有利…か?


 その考えに反応したのは小桜。


【止めた方が宜しいですわよ?

 主が狙われているのですから、

 4Sなどと聞かされた瞬間、

 他の強者な魔物を取り込み兼ねませんわ】


 うげぇ…すっげぇ面倒くせー。


 駆け寄ってくれたブラッドが一撃を背後から入れたのだが、歯が立たない状態に


「は?!ミスリル剣で切りつける事が出来ないだと?!」


 と叫んでしまう。


「ブラッドさん!?折角せっかく、俺に狙いを定めさせてたのに…

 何ヤラかしてんですか!

 そいつは3Sの魔力ですよ?!

 死にたいの?」


 ブラッドの声に反応したヤツが、ターゲットをブラッドに定めてしまったのだ。


 振り向きざまにヤツが無詠唱で、火球ファイヤーボールを放った。


 その威力は強力で流石3Sだと思えるくらいだった。が、ブラッドは難なく回避し逆に封じ込めの一撃を加えてくれた。


 動きが一瞬、止まったと感じたリョータは


拘束バインド最強!」


 とヤツを捕獲できるであろう魔法を放ち確保できた。


「離セ離セェェェーーー!!」


「・・・なんつー魔法、持ってんだよ…お前は…」


「だって僕…思った事が魔法として登録されちゃうんだもん…」


 そう言われたブラッド…ぽかーん…と口を開けフリーズ。


「俺ハ…俺ハァ…オ前ヲォォォ殺スゥ!」


「「未だ言ってんのか…」阿呆め」


 拘束されたヤツを葬るのは簡単なようで、ブラッドの剣が心臓を突き刺し、リョータの剣は右手を切り落として終了した。


「それにしても、何でリョータがこんな森の奥にいるんだ?」


「あー…ブラッドさんになら教えておいていいか…」


 そう言って後方の自宅に掛けていた全ての魔法を解き、作った自宅を見せ更なる驚きでフリーズしたのは言うまでもない

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