第342話:説明と思案
リョータの後方に立つ建物が家だと言う事は理解できたブラッド。
だが、こんな場所に…と言う疑問が浮かんだ。
「…お前、こんな所に住んでるのか?
例え強いと言っても…こんな最奥に…」
その言葉に肩をすくめて
「リッツェに家を借りるつもりだったんだけど、
商業ギルドのギルマスに、
何かしらさせられそうになったんだよね。
諸々から回避するには、
誰からも干渉されない場所がいいかなって…
ワイバーンさんが助力してくれたからか、
判らないけど、
強者な魔物…出ないんだよ」
出ない…と言われても、商業ギルマスに何かさせられそうだった…と言われても、ここに住居を構える事じたいが信じられない、と言う顔になるブラッド。
「…例えそんな理由だったとしても、
魔物たちが闊歩できねぇだろうがっ!」
そう…通り道が見当たらないのに住める事が理解できないのだ。
「…あー…それ…ね…建物に通れる魔法、
掛けてるんだよ」
「は!?どう言う事だ?」
「僕、考えた事が魔法やスキルとして覚えられちゃうって…
言ったでしょ?この家を作った時は考えなかったんだけど、
住むようになって、此処まで冒険者も来るって判って、
その時、此処が通れなかったら不思議がられるって思ったら…
周囲と同化させて通れるようになれば、
疑われないなー…と思って透明化って魔法を考えたんだよ」
もはやポカーンどころではない。口あんぐり…本来なら周囲を警戒しなくてはならない場所なのに、その一角だけは何故か無法地帯。
「と…とんでもねぇな…お前は…」
惚けてばかりいては自分の身が持たないと思ったブラッド。
リョータの自宅に関しては記憶から消しておく事を決めたみたいだった。
「(ぼそっ)だって俺、転生者だし…」
「何か言ったか?」「ううん(やべっ!拾われなくて良かった)」
足元に残っているのはヤツの骨…。
「ねぇ、ブラッドさん。この骨…侯爵様か伯爵様か知らないけど、
こうなった経緯を伝えて渡した方がいいの?」
「あー…お前は
「知ってるってか…僕を殺そうとして失敗して、
父親に手首を切り落とされたんだよ。
その時、名前とか名乗らなかったから誰って言うのは、
知らないんだ」
「は?こ…殺されそうに…なった…だぁ?!
お前、良く生きてたなぁ」
「だって命を狙ってる癖に、位置を確認しようとして頭、
出したんだもん。そんな状態なら誰だって気づくでしょ?」
「・・・阿呆だな・・・」
残念な子供を見る目で骨と化してしまった人物を見下ろしたブラッド。
骨をそのまま持ち歩く訳も行かないので、どうやって運ぼうかと思案し始めた。
「骨まま持って行くのは忍びないよねぇ…
何かしら入れ物で持って行かないと不敬になっちゃうかなぁ」
「う~ん…名前が判ってないんだからなぁ…
とは言え、その襲撃された時に誰か、
傍にいなかったのか?」
「一応、団長さんが…あ。
団長さんに聞けば判ると思う」
そうして問題児が屍食鬼となり討伐されてしまった件は、団長へと伝える事となり、森には平穏が戻ったのだった
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