第340話:屍食鬼(グール)の正体は・・・
リョータの視界に映るのは、いたって何時もの森…なのだが…何者かがいる気配だけは感じ取れ断言してみた。
「そこにいるのは判ってるぞ…」
ボックスから使う事が無かった「刀」を手元に呼び出し、見据えた先に現れた
そう何処ぞの嫡男で、何処ぞの学校へと送り込まれた筈の元同級生だった。
『オ前ヲ殺ス…殺サナケレバ気ガ済マナイッ!』
人間…やめちゃったの?何でこんな姿で森を彷徨ってんだ!?
「実力差、判ってるのかねぇ…」
『殺ス…殺ス…殺…』
人であって人ではない姿となった問題児(あの時、名前は教えられてなかった)。
チャキっ…と鯉口を切って襲撃に備えた瞬間、相手のステータスが表示され驚愕した。
「は…?!何で!?コイツにそんな能力なかったじゃんっ!
小桜っ!」
そう、そこに表示されたのは当時の問題児と比べられない程、驚異的な数値なのだ。
だからこそ、小桜に声を掛けたのだ。
【
この者の魔力は手首の魔物から出ているようですわ!】
何処が元凶かを把握できた小桜が、能力の大半を手首につけられた魔物の手が原因だと見破ってくれた。
って事は…手首を切り落としたら死ぬ?
念話で小桜に聞いてみたのだが
『何ヲ企ンデル?企ミナド不要ゾ。
オ前ハ俺ニ殺サレル運命…』
そんな言葉を吐かれ、ゾクリ…。
今まで体験した事のない悪寒が、全身を駆け巡り緊張感を漂わせた。
…マジか…魔物の能力で爆上がりしてるから言葉も強気でいられるってか。
それよりも…コイツは俺の命目当てなら…他の冒険者が来ない、森の奥で良かったカモ知れないな。
問題児だった頃なら瞬殺できたかも知れないが、
鯉口は切っていたので何時でも抜刀できる状態にはしていたが、問題児(もうヤツでいいか)の動きが俊敏すぎて一瞬、対応に遅れそうになった。
【…っ?!
その遅れを取り戻してくれたのは、体躯を大きくしてくれた小桜。
屍食鬼の左腕に噛み付き動きを少しだけ、鈍らせたのだ。
「た、助かった小桜」
バックステップで距離を取り、刀を構えて対峙し始める。
ヤツの遥か後方に見えたのは……ブラッドだった。
~ブラッドside~
ん?あそこにいるのはリョータと…グ…
泉を挟んだ対岸でリョータと、屍食鬼が対峙している
頼む…間に合ってくれ!!
馬鹿力でリョータを追い込んでいるように見える屍食鬼。
リョータはリョータで、拮抗してしまっている状況に戸惑っているようだ。
(何で一撃を入れられてないんだ?!
普通の屍食鬼なら瞬殺できる筈…
え・・・?)
Sランクだからこそ気づけた、普通の屍食鬼ではない…と言う事に
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