第396話:鉱石加工開始と設計図は誰が作るんだ?!

 日本から送られてしまった鉱石類は、整理整頓された状態となって居たので、インゴット…つまり粒状態を塊にする事で、保管場所の空間を増やす算段を話さなければならないと思った。


 何せ10以上の箱がズラリと横並びで…しかも異世界文字(平仮名表記)で分けられたままなのだ。


「ヘンリーさん」


「ど、どうした?」


「この粒状態の品をある程度の塊にしたら、

 置き場所が増えるよな?」


「…確かに箱に粒で入れたままにしておけば、

 作業し始めたら狭くてコケる可能性も出て来るな」


「今は此処ここで作業してるけど、

 いずれ専用空間で作業する事になると思う」


「専用空間?」


「完成したら、実際に走る所を見たいだろ?」


「ああ!勿論見たい!」


「此処だと速度の確認も出来なければ、

 壊れてしまう速度がどれくらいかすら、

 確認できないよな?」


「…確かに…それは今の空間では無理だな」


「完成した車を実験する場所に運ぶ姿を見られて、

 アレは何だ?!って驚かれるよりも、

 走らせる実験場所で完成させた方が、

 驚かれる率は下がるだろ?」


「ああ…そう言う事か。

 その空間は完成してないから、

 此処での作業となり、このままだと、

 コケたりつまずいたりするから塊にしたい…

 って事だな?」


「うん、そう…そうなると鍛冶職人さんにお願いしたらいいかな?」


 偏屈なウォーターに頼んだら喜々として作業に当たってくれるとは思う…思うのだが、加工中に何か作ってしまわないか?と言う不安が有った。


「そりゃあ・・・別の作業を始めそうだよな・・・」


「念を押しても駄目なの?!」


「判らんな…今まで扱った事が有る鉱石なら、

 他の作業をせずにインゴットへと加工して居るが、

 此処に有るのは見た事も無い鉱石だ。

 1つ見ては何に加工できるだろうか?と、

 思案しかねん」


 …有ル意味…職人気質…ナンダロウケド…念押シシテモ駄目トカ…。


「願い出なきゃ加工も出来ないし…取り合えず話を持って行ってみる」


 作業の手が止まってしまうとしても、お願い出来る職人は1人しか居ない。


 箱に収まって居る鉱石を1種類づつ…興味深く見ている。


 その背中に


「ウォーターさん、それらをインゴットにして頂けますか?」


 と声を掛けると、ぐるん…と振り返り目をキラキラとさせながら、二つ返事で


「していいのか!?いや、させて下さいっ!!」


 と食いついた。


「も、勿論して下さい(食いつくの早っ)」


 お願いした瞬間、1つ目の鉱石が入った箱を持って「日本から転移」して来た高炉へと向かい火を起こし始めた。


 後は…と設計図を描くのに必要な人員は…考えた瞬間「居ない」だった。


 自分で設計図を起こせる訳も無いリョータは、職人が存在するのかレイに聞く事にするのだった(魔法を使えば簡単に作れると、気づいて無い…らしい)

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