第439話:リョータの料理指南?(4)

 器(ボウル)にレンチンした御飯を入れ、別の器で溶き卵を作り醤油を適量。


 卵かけご飯の時に入れる位の醤油と言えば、日本なら「あ、それくらいね」と判り易いだろうが異世界では見た目で判るかな?と不安になりつつ味を見ながら調整。


溶き卵に醤油を絡めた溶液を温かいままの御飯と混ぜ合わせた所で


「ちょ、ちょっと待ってくれ!

 ニワートリの卵は生では食えねぇんだ」


 と駄目だしされたがリョータは


「あ、今の状態のまま出来ました!じゃないんだ。

 これから火を入れて行く過程に入るんだけど…」


 やはり「駄目」だと言われたなーと思いつつも、フライパンに肉油…ではなく、待って居る間に確認した「植物性の油」の中から見つけた「ごま油」を使おうと用意して居た。


「え・・・?卵を醤油と混ぜ合わせて白米に絡めた状態で…

 火が入る…だと!?」


 あー…そうなるよねー。


「記憶の片隅に残ってる調理法なんだけど、

 誰か(俺)が手抜きをしてご飯を美味しく食べたいなー…

 と思って作ってたような気がするんだ」


 記憶喪失だとしなければ、異世界で一人暮らしが長かったのと、仕事はホワイトだったが、手抜きで飯を食う確率が高かったのも有るが、卵かけご飯をチャーハンに出来ないか?てな感じで実験的に作ってみたら「うまし!」だっただけで有って、何か目的が有って作った訳では無い品なのだ。


 記憶が無い事から「それ以上の突っ込み」は来ないと踏んだのは的中し


「そ、それは済まなかったな」


 と忌避感を持っては居るものの、出来上がりを見てから批判しても遅くないと判断してくれたメイスンに内心「感謝」のリョータ。


 熱したフライパンから軽く湯気が出るくらいで油を投入、全体に回した状態で混ぜ合わせた卵御飯を器(ボウル)からフライパンに移し炒めて行く。


 ジュージューと何かが炒められている音が聞こえたのか、メイドさんたちが調理場を覗き見し、作ってるのがリョータだと言う事に気付き


「料理長!何故、子供を調理場に立たせてるんですか!」


 と怒り心頭。とは言え、メイスンさんから作ってくれって頼まれたんだけどなー…てな顔のリョータにメイド達は戸惑い気味。


「リョータが記憶喪失らしくてな、

 道具の名前とかを聞きながらでは時間が勿体ないと思って、

 私から作って欲しいと頼んだ」


 シーン…と静かになってしまった調理場に響くチャーハンを作る音。


 メイスンはリョータの作る手先に集中して、技…ではないが手順などを漏らさずスキルで覚えて居るようだった。


 一方のリョータは御飯がくっついて居た状態からパラパラになったのを確認すると塩(の粉)と胡椒(の粉)をひとつまみくらい…炒められた御飯に掛けて借りた木べらの先に少しだけ付いた御飯を一口。


 味見をして胡椒が足りないっぽいなーと、一つまみ追加、そして出来上がりを用意されて居た皿にパラパラな御飯を入れた

(勿論、作った量は1人前なので侯爵家の人数分では無い事に誰も気づかない)

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