第216話:討伐(1)

 FからBの候補生では対応が出来ない、何かしらの魔物が近づいてる、と言う事でAとSの候補生が何処から来るか判らない状態で臨戦態勢を整えた。


「リョータ、どの方向・・・

 と言うのも判らないのだな?」


「・・・御免なさい…」


「ああ。

 責めている訳では無いんだ。

 方向が判れば其方そちらに注意を集中できるんでな。

 判らなければ、

 それ相応の対応は出来るし心配は要らんさ」


 そう言って貰えると助かるな。


 冒険者になって数か月しか経過してないから、魔物の種類を全て把握は出来てない。


 そんな中でFからBまでの候補生では対応不可能な魔物、と言う事だけは判る状態なのだ。


 この気配・・・小桜なら判るだろうけど、今は騎士の訓練中…召喚する訳にいかんしなぁ…。


 現状では方向も魔物の種類も判らない状態。


 AとSの猛者たちは、リョータが強いとは言え、情報をいち早く理解できる者として中央に配し、守るように囲み何処から攻撃が届いたとしても対応できるよう整えている。


「左からクマみたいなのが、

 右から狼みたいなのが来るよ!」


 気配だけで「クマっぽい」「狼っぽい」と言うのは理解できたのが、正確なランクなどは把握できなかった。


 多分・・・何とかベアとか何とかウルフって言う種類なんだろうけど、図鑑を全部「覚えてない」からな。


 鑑定を掛けても左右じゃ対応が間に合わないんだ…ちょっと待てよ?


 「思い描いた魔法が作れる」んだったら範囲鑑定って覚えられたり・・・し…。


       ピコーン♪


【ブラックベア】

・Aランク

・狂暴


【レッドウルフ】

・Aランク

・集団で襲う傾向


「団長さん!

 一方はブラックベア、

 もう一方はレッドウルフで、

 両方Aランクの魔物です!!」


「「はぁ?!

  何でこんな浅い場所に出るんだよ!」」


 普通なら奥地へ行かなければ出くわさない魔物が、何故か森の浅い場所に出現。


 しかもウルフは集団で囲んでいるようなのだ。


「ベアは1頭、

 ウルフは最低でも20匹が集まってるみたい…」


 FからBの連中が応援要請を出してくれる事を願うしかなかった。


 これさぁ…奴らが俺に対して恨みを募らせ、応援を「呼ばない」って考えたりしてないか?


 してたらアウト、全員を守りながら討伐は難しむずいもん。


 俺だけなら何とか出来る可能性はあるけど、怪我人が出るだろうな。


 右側が包囲された状態で、ウルフの威嚇の声が聞こえ始める。


 左側は到着まで未だ余裕がありそうだが、それも長続きしないだろう事は、団長でも気づけた。


「くっ…これは…

 Fクラスの連中が、

 応援を呼んでなかったら死闘になってしまうな」


「・・・候補生たちの怪我は覚悟した方がいいでしょうね…」


 ジワリ・・・とウルフが詰め寄って来る。


 討伐用に持たされた剣を全員が構え、飛び掛かりそうなウルフに向けて構えた

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