第215話:波乱の討伐(2)

 Fクラスの大多数が戦線離脱、次に討伐させたのはEクラスとDクラス。


 勿論、スライム相手なのだ…が…。


「・・・どうすれば、

 なるのか理解できないな…」


 スライム相手に「何故か」大けがを負った者や、目を回して倒れてる者までEクラスは30名中2名が残り、Dクラス30名中1名だけが怪我せず残ったのだ。


 残った1名が倒れた同級生を目を見開いて見下ろしている姿は逆に、可哀そうに思えた。


 あ~…これ、1人適性なかったってか?


 まあ今まで「選定の儀で選ばれた者は素質がある」だったんだろうけど、素質が無い者が素質あり、とみなされたって事か。


「騎士希望・・・と言うより、

 選定の儀で騎士に素質あり…

 と言われた者は入学前に、

 更なる選定をしなければならない可能性が出て来たな」


「・・・Fクラスより優秀な筈の候補生が、

 では、

 そうせざるを得ないでしょうね」


 今までは能力的に優秀だったんだろうけど、その優秀さが「怠慢」を生み「努力しなくなった」んだろうねぇ。


 鍛錬「しなくても強くなれる」なーんて阿呆な考えをF~Dはしたって事だろうな。


 この場合に使うことわざは「論より証拠」だろうね。


 選定の儀を考え直す案から脱線している感は否めないが、現時点で選定者たちを論破できるくらいの材料「は」少ない。


 そうなれば現状維持で騎士希望者だけは技能検査のような事柄を行い、不合格扱いにした方が有意義だろう、と言う結論に達するのも判らなくはない。


 B~Sクラスの生徒は、スライムと対峙するFとDが更なる強敵に襲われないよう周囲を警戒しているのは流石ではある。


「本来ならBからSクラスのように、

 周囲を警戒したり強い魔物がいた場合に、

 反応できるくらいの能力は持っていて欲しかったのだが、

 これでは討伐クラスはBからSと限定せねばならないな」


 確かにそうだよねぇ…。


 一番弱いとされてるスライム相手に大怪我したり、気絶しちゃぁ討伐すら難しむずいもん。


 騎士の恰好と言っても正装では無いが、普通なら怪我をしない。


 それなのに腕を負傷したり、足を負傷してしまえば「どうして怪我するの?」になる。


 確実に技術を習得している者であれば、怪我を負わない戦い方と言うか、倒し方は弱い魔物を倒し経験する事で本来なら身に付く。


 3月に入学したF~Dの者が、10月に入った10歳の子供以下では話にならないのは明白。


 勿論、リョータが基準ではないのだが、それでも先に入学している筈の者が、大怪我を追う事じたいが信じられない。


 比較的浅い位置で討伐していたのだが、リョータの危険察知が何かしら弱いと言っていい生徒たちに取って、脅威となり得る魔物が近づいている事を捕らえる。


「団長さん、移動した方がいいかも…」


「リョータ?」


「FからBまでの人が対応できない可能性がある魔物…

 だと思う。

 近づいて来てるんだ」


「魔物の正体は…

 判るか?」


「ううん・・・

 遠いのか未だ見た事が無いからか、

 何って言うのは判らない…

 ごめんなさい」


「いや…FからBまでの生徒は、

 全力で宿舎へ戻り応援要請して欲しい」


 大慌てで踵を返し宿舎へと戻って行く背中を見送った団長とAからSまでの騎士候補は、どちらから魔物が現れても対応できるよう、体制を整え襲撃に備えた

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