第70話:死闘…では無く瞬殺

 ゴブリンが何属性か知らないけど、俺の魔法なら瞬殺だよね?


あるじしないと怪我人…

 いいえ死人が出てしまいますわよ?】


 え…?もしかして…もしかしなくても…全力で魔法、当てたらヤバい?!


【えぇ、ですわよ】


 自重するとして危険を回避するなら、キングを先に倒すべき?


【ゴブリンの頂点ではありますが、

 主は属性を知らないのでしょう?】


 うん、知らない。


 火の玉大フォーリンス水鉄砲ウォーターガンを使うつもりだけど駄目?


【…駄目ではありませんが…

 剣で切り捨てた方が被害が出ないかも知れません】


 確かに…魔法だと威力調整が出来なくて被害拡大って事も有り得るもんね。


 それなら剣で挑んだ方が被害少ない・・・か。




 * * * *


 小桜に乗って死闘が繰り広げられている一角に気付いた。


 小桜、死闘が繰り広げられている場所に向かって!


【向かうのは構いませんが、

 何をするつもりですの?】


 小桜にジャンプして貰って俺が飛び降り、その勢いで切り伏せる。


【いくら身体強化をしても危険ですわ!】


 途中でゴブリンの体に足を付けるつもりだよ。


【はぁ…規格外にもほどがありますわよ】


 溜息しか出ない小桜にジャンプをお願いし、1体だけいるキング目掛けて剣を振り下ろす。


「いっけぇ~~~!!」


              ずしゃっ…


 脳天を勝ち割った所為せいか、ゴブリンキングは微動だにしなくなり、肩に足をポン…と付き逆上がりの要領で体を一回転。


 ゴブリンの胸元で体制を整え着地。と同時にキングの体が砂山となった。


「「「「「「はぁ?!ゴ、ゴブリンキングを・・・瞬殺ぅ!?」」」」」」


「誰・・・え…リョ、リョータぁ?」


 Sランクのブラッドさんが、俺の顔を見てあっけに取られている。


「ブラッドさん、

 戦闘中にほうけたら、

 命がいくつあっても足りませんよ!」


 そうキングを倒したら終わりでは無い。


 残ったエンペラーとナイトを倒し、安全な街道に戻すまでが勝負なのだ。


「・・・まともに動ける人数は5人もいない。

 それでも倒せるのか!?」


「僕が瞬殺したの、見てたでしょ?倒せるよ」


 キングが「あっさり」「倒された」のを見たからか、ゴブリンはリョータを先に「対応しないと負ける」と思ったのだろう。


 ナイトが10体、大挙してリョータ目指し突進して行く。


「小桜、ブラッドさんを守って!」


【あ、あるじぃ?!

 単独で倒す気ですか!!無茶ですわ!】


 突進して来るナイトを1体1体、対応していては流石のリョータでも難しかっただろう。


 だが彼は規格外…剣で半数を、残り半数は魔法の実験台として霧散した。


「・・・無茶じゃ無かったみたいだな」


 ブラッドに小桜の叫びが聞こえたのは、念話を持っていたからではなく、リョータが何かしら施したからだった(本人、自覚なし)。


【え?わたくしの声が聞こえるのですか?!】


「ああ…理解できてるぞ?フェンリル小桜嬢、

 あいつリョータは何者だ?」


【知らないのです。

 言える事は規格外の魔法を使える…

 と言うくらいですの】


 ブラッドと小桜が会話している間に、王都を襲撃すべく集まったゴブリンは全てリョータによって蹂躙され、危機的状況を回避する事に成功したのだ

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