第71話:王様の登場

 全部で20体いたゴブリン上位種を瞬殺で倒してしまったリョータ。


 SSからBまでの冒険者が小さな戦士の周囲に集まって行く。


「お前、すげぇな!!キングを瞬殺しただけでなく、

 エンペラーとナイトまで魔法で瞬殺しやがって!

 怪我してねぇか?」


 盛大に背中を叩かれたリョータ。


「うぐっ?!し、してないから手加減して下さいぃ」


 ゴブリンによる怪我では無く、冒険者の力で叩かれた事による怪我をしそうでは有るが、言われて手を抜いてくれる辺りは流石であった。


「お、おう。すまねぇな」


 ブラッドさんが僕に近づいて来てるけど、これ…怒られるパターン。


「・・・ごめんなさ「ありがとな」…へ?」


 あまりに規格外な力で瞬殺したから怒ってるのかと思ったけど違うの?


「お前、冒険者になったばかりなのに何故、そこまで強い?」


「(これ正直に言わない方がイイよな)

 …わかんない。

 気づいたら僕のランクが最高位だったんだもん」


 気づけばSSSランクとステータスに表示されていた。


 どう考えてもダンジョン単独踏破の時に上がったとしか思えなかった。


 レベルはマックス…と言っても、最高レベルが99なのか999なのかすら知らない。


 それでも緊急招集が掛った時点では表面上はE。


 SSSとして動くつもりは無かったのだが、魔力操作を勉強していない状態では「どれだけの力を込めれば威力がどれだけになるか」を理解できる訳が無い。


 しゅん…と落ち込むリョータの肩をブラッドは優しく叩き労う。


「お前が来てくれたからこそ、

 王都にも冒険者にも怪我人が出たとしても、

 死人が出なかったんだ。

 感謝こそすれど怒るなど出来ないさ」


「ブラッドさん…」


 恰好イイ一面を持ってるのに勿体ないな…。


「リョータ、この事を王都ギルドに報告しなきゃならんのだが、

 お前は元々Eランクだ。

 今回の事で恐らく、驚異的にランクが挙げられてしまう。

 大丈夫か?」


「(そりゃそうだよな。キング瞬殺)

 …大丈夫じゃないけど、

 報告しなきゃ駄目でしょ?」


「あぁ

 (こんな幼い子供が最高ランクだと知られてしまうのは…

  何とも言えねぇな)」


 絡まれる事を懸念してくれてるんだろうな。


「ブラッドさん報告いこ?」


 覚悟を決めた顔をしたリョータを連れ、王都ギルドにSSランクからEランクまでの討伐に加わった全員が向かう事になった。



 * * * *


 王都ギルドで待っていたのは、ファニーの王様だった。


 それは自分の息子が「やらかした事」に対する謝罪でもあった。


「なっ?!へ、陛下!?」


 一斉に膝を付きこうべを垂れ「何故、陛下が?」と言う疑問を抱く。


「皆の者、非公式の場であるから、

 面を上げて欲しい。

 我が愚息が叱られた腹いせに、

 知らぬと言えど、

 ゴブリンの巣を壊してしまった事を詫びに来た」


 王様だけで来た理由は、愚息と化してしまった第一王子を幽閉しているからであって、本来なら、本人を連れ謝罪させたかったのだろう。


 申し訳なさげな顔つきで謝罪しているのだ。


「・・・発言をお許し頂けますでしょうか」


 そう言って口火を切ったのはティングのギルマス…では無くブラッドだった

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