第69話:怪我人を助ける

 問答無用で王都近くへと向かう事になってしまった俺は、従魔がいると言う事で小桜に乗り、ゴブリンの上位種が生まれた場所へと向かい始めた。


【はぁ…あるじは魔力が多いと忘れていません事?】


「うっ…ごめん小桜」


【もう目立ってしまってますから最速で倒してしまいましょう】


 今更、隠せる事柄は無いとまで言われるとか…せぬ!


【それだけの事を「しでかしてしまっている」でしょ?】


「うぐっ・・・」


 小桜の指摘は的を射ている(的を得ている<所説あり>)。


 目立つつもりが無かった筈なのに小さく作った筈の穴はクレータ並み、遺体を入れるつもりが、生きているゴブリンまで投げ入れてしまった。


 それだけの魔法を使っているにも関わらず、魔力が枯渇せず、平気で立っているのだからSだと疑われても仕方ない。


 遠目で気づいたリョータ。


 視線の先ではAランクやBランクの人が大けがを負い、座り込んでいるのだ。


「っ!大丈夫ですか?!」


「子供がこんな所に来るんじゃない!

 早くも…

 「大丈夫です、僕・・・これでもSSSなんだ」

 は?」


【主?!】


 いいんだ小桜、ここで俺のランクを隠す必要は無い。


 隠蔽してないランクだと戻れとしか言われないからね。


「3Sだと・・・?」「かく、治療するね」


 声に出すとバレ…あぁ出さなくても気づかれるな。


 全回復じゃなくて「治療ヒール」なら大丈夫か?


        ぽわ~…


「・・・治療ヒール・・・なるほど、

 S以上じゃなければ使えない魔法だな」


 何か…凄い事いった?


【言いましたわね】


 治療ヒールがS以上じゃないと使えないの?!


 まあ、疑いが晴れるんだったら使う一択だけど、やるせないなぁ。


「他に怪我をした人は?」


「ああ、比較的安全な場所を確保して応急手当してる。

 頼む…ゴブリンキング討伐に向かってくれ」


「・・・わかった・・・小桜いくよ!」「あん!」


~助かった冒険者side(助かる少し前に遡る)~


 王都ギルドから依頼を受けた時は、ここまで酷いとは思っていなかった。


 ひねくれた王子が怒られた腹いせで、ゴブリンの巣だと気付かず、10個も叩き壊した事で追われ、逃げ出してしまい、挙句…謹慎処分を食らったと聞く(それだけで済む話じゃねーだろ、と思ったのは仕方ないだろう)。


 依頼されたからには怪我の1つや2つ、覚悟していたつもりだった。


 だが到着して直ぐ、女性冒険者が離脱する程に酷い有様。


 男の俺でも顔を顰める光景…それでも倒さねばならぬ、と気合を入れたが多勢に無勢。


 徐々に離脱して行く冒険者が増え、俺も怪我を負い動けなくなってしまった。


 そんな俺の傍に見た目10歳くらいの子供が近づき


「大丈夫ですか?」


 と声を掛け治療ヒールを使って来た。


 治療魔法を使う事じたい、信じられん。


 だが、あの魔力なら最強と言われるキングを倒せるかも知れないな。


 だからこそ治療して貰うよりも前線に行って貰う事にしたのだが、後から聞いた話で彼はキングを瞬殺したらしい。


 3Sは化け物か?!と思ったのも仕方無いだろう

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