第68話:一斉討伐の筈が…

 前衛役の剣士が一斉にゴブリンの集団へと突っ込んで行く。


 俺は子供って事で一番後ろに控え、倒したゴブリンを燃やせたら燃やして欲しいと言われてしまった。


 まあ子供に討伐をさせる・・・なんて事、大人はしたくないだろうからな。


 前方で倒されて行くゴブリンをひたすら集め、山積みにして一気に燃やして行く。


 うーん…このまま燃やしたら街道に焼け跡が残りそうだな。


 小さくてイイからクレーターみたいなの作るか?


            ドカっ!


「な、何だぁ?!」


 しまったぁ…クレーターって言ったからデカイ穴になってるよ。


 半径1kmくらいで大きな穴が開いてしまっている。


 そこにゴブリンの遺体がポンポンと入って行く。


 勿論、リョータが風を使って投げ入れている。


 後方支援に回っていた魔法師たちは口を開けたまま呆けていた。


(何だ?この魔力の多さは!誰だ…誰がこの所業を行っている?!)


 出来てしまった物は仕方ない・・・とばかりにリョータは、遺体となったゴブリンをクレーターに集め一気に焼却して行く。


           ボッ!


 火柱が上がるが誰も驚く事は無かった。


 既に全員が雑魚のゴブリンを倒し終える前にリョータが「生きたままのゴブリン」でさえ回収し、焼却炉と化した穴に引き入れてしまったからだった。


「お、おい!はお前がやったのか!?」


「・・・ごめんなさい・・・

 こんなに大きくなるって判らなかったの」


「怒ってるんじゃなくてな、魔力は大丈夫なのか?」


「(あれ?ヤリ過ぎを言われたのかと思ってたけど…)

 うん…そんなに使って無いんだ」


 リョータからしたら1割も使って無いのだが、周囲は魔力の枯渇を心配していたのだ。


 これだけの魔法を駆使して何ともないとは…有り得ない。


 そんな表情が、そこかしこに見え隠れしている。


「雑魚なゴブリンは粗方、

 討伐してしまったから、

 お前は王都に向かって欲しい」


「えっ?!だ、だって王都に近い場所は、

 SからBまでのランクじゃないの!?」


 ちょっと待て、まさかEランクの俺が、エンペラーやらキングと戦えるとか思われたんじゃ…。


「・・・お前のランクA・・・いやSじゃないのか?!」


「ううんEだよ?」


「「「こいつの何処がEだと言うんだよ!」」」


 あれま…周囲が同時に同じ意見になってるって事は、やっぱり「やり過ぎた」って事か。


 それはそうだろう、リョータは息絶えたゴブリンだけでなく、襲撃しようとしていたゴブリンでさえ風魔法を駆使してクレーターに投げ込んだ。


 だからこそ周囲の大人はリョータがEランクと言う事実に納得する訳が無いのだ。


「はぁ…ブラッドさんとギルマスには報告しなきゃだな」


「ああ、こんな逸材をEのままにしておけないだろうからな」


 やーめーてぇ?SとかSSとかになれる・・・なーんて事になったらフラグ立ちまくりじゃん。


 ガクっと肩を落として思った事、それは「俺って巻き込まれ体質だわ」だった

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