第252話:炊き立て御飯を伝授

 精米された状態で料理人に1袋、渡す事にしたリョータは


「早速だけど、作り方を教えていい?」


 と確認を取ったのだが、先ほどからギャラリーが徐々に増えているのを気配で感じている。


 何だかなー…何が家畜の餌から作り出されるのか判らないからかね?


 メイドさんや執事さん…領主様と夫人まで覗き見してるよ。


 あれだけ見ないでね?って伝えたのに…ってルーカス様までいるの?!


「ああ!教えてくれ!!

 っとその前に…料理人以外は、

 厨房周辺から立ち去って下さいませんか?

 ルーカス様、旦那様、奥様、それに執事まで…

 揃いも揃って何してるんですか!」


「「「「うっ」」」」


「お前たちもだ!」


「「はいぃ」」


 メイドさんは速攻で立ち去ってくれたけど、領主様たちは残ってるね。


「ルーカス様、

 これ(白米を指して)が何か、

 領主様たちは御存じなんですか?」


「あぁ知っている。

 元が家畜の餌として売られていると伝えたからね。

 それが食べられるのが信じられないと言う所だとは思うが…」


 あー…備わってしまったスキル使ってみるか?


 いや、それは確認してからだな、と言う事は不可視の魔法を施すか。


 完全無詠唱で入り口に張って見ると


「あれ?厨房が見えなく・・・ルーカス、

 お前が魔法を掛けたのか?」


 と言う声で成功した事を把握。


「早速おしえるね!」


 どうせなら遮音も追加しちゃえ!


 リョータのステータスに「遮音」が追加されたと小桜も気づくが流石に食事を作る場所、と言う事で辿り着いたと同時に影に入って貰った。


 もし同行している状況ならば「あるじ?自覚しておられますの?」と言われていただろう。


 米を洗いザル…は無いので、そのまま鍋に焦げが着かないよう魔法を施し、米の上に手を乗せ、手首の位置まで水を入れて行く。


 リョータの覚えている範囲で…ではあるが、流石に全自動で「炊き立て御飯」が出来る道具など異世界にはない。


 無いが職人に「こんなの作れない?」と打診すれば出来る可能性は残されているので、鍛冶地域に行き、願い出るのもアリだな…と思ってたりする。


 炊き上がりまで時間が掛かる事を告げ、出来上がれば食べる事ができると伝え、リョータは徒歩で帰宅するつもりで「不可視の魔法」を解いた。


「・・・覗き見しようとしてたんですか?侯爵様」


 魔術の先輩だからだろうか。


 侯爵が厨房で行われている事柄を見ようと色々な魔法を「試していたらしい」と言うのが伺えたのだ。


「す、すまない。

 どうしても家畜の餌が食べられる物だと言う事が、

 信じられなくてな…」


「判らなくないですけど、

 料理人さんが作れなければ試食も出来ないって、

 判ってますか?」


 ぐうの音も出ないのか、反論する事も無く、リョータは白米指南を終え自宅へと戻り、有意義な冬休みに入れると思っているのだが、未だ未だ波乱は起きそうな気配

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