第375話:連絡用魔道具の思案

 日本なら電話、ファックス、スマホ、アプリ…様々な連絡手段が存在するが、異世界での連絡手段と言えば手紙が主流。


 魔法便で連絡を取る場合は急ぐ時と定められているらしく、火急の連絡手段は存在しない。


「開発するのは構わないが…一体、どんな道具を作る気だ?」


 問われて日本での連絡手段は難しいか…と思ったが


「そう…だなぁ…トランシーバーなら作れるか?」


 電話やスマホは基地局…電線が無い状態では作る事すら難しい。


 いずれ作るとしても「今」は無理だと軌道修正し、電気系統ではあるものの、アナログな方法なら?と発想を飛ばしトランシーバーなら見本があれば作れやしないか?と思ったのだ。


「とらんしーばー・・・?」


「魔法を使って道具で会話…出来ないかと思ってな」


「それがトランシーバーと呼ばれる仕組みに近い…

 と言う意味で言ったのだな?」


「ああ。勿論、

 見本を出したとしても作れない部分が多いさ。

 作れそうになければ、

 魔法を組み込む形にすればイイだろう?」


 如何様と言われるくらいの魔法を使う事が出来るリョータなら、そんな事は朝飯前で出来てしまう可能性がある、と見込んだ道具班。


「先ずは形を決めた方が良いだろう。

 魔法を組み込むにしても、

 何かしらの物体が必要じゃないか?」


 あー…確かに、車に魔石使ったくらいだから、道具にも何かを使うって事だよな。


「それなら車と同じように魔石を使って、

 実験する必要がありそうだよな?」


 何もかもが「初めて」の事なので、全て「実験」してみなければ判らない。


 魔石が吉と出るのか凶となるのかは、現時点で不明。


 ならば実験で…と言う運びになるのも理解できたのだろう。


「形と大きさ…それから魔石の量…

 実験するなら、

 これらを考えなければならんな」


 スマホくらいの大きさが理想だと思っているリョータだが、流石に「そこまで小さな道具」を「見せる」訳には行かないと言うのと、見せた瞬間、驚かれて質問されまくるだろうと言う「負の連鎖」が思い浮かんだので、スマホの大きさは除外にした。


「先ずは大きい状態で作って見て、

 小さく出来るのか…まで実験できれば良いか?

 それと連絡が入った事が色で判った方が良いだろうな」


 電話なら音で連絡が来た事が知らされるが、道具では色で判った方が良くないだろうか?と思ったからこその意見だった。


「それもそうか。

 いきなり連絡が声で届いた場合、

 刃物を扱っていれば危険すぎるからな。

 連絡が来た時と受け取った時の色を変えた方が良いか?」


「そうだな…連絡が入った時だけ色があれば、

 判り易くないか?」


 あーでもない、こーでもないと議論を交わし、大きさ的にはファックス付きの電話機から初めて、トランシーバーの大きさまで小さく出来るのか?を実験する事が決まったのだった(ファックス付き電話機もトランシーバーも実物を見せた訳ではなく、これくらい…と図案化した状態で提示したのだ)

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