第322話:死蔵していたらしい魔石

 そう言えば…とリョータは思い出した事があった。


「ボックスん中に判らない石があったような気が…」


 その独り言は、ハンターに聞こえはしなかったのだが


「リョータ?何か知りたい事でも思い出したのか?」


 と何かを思い出したのではないか、と思われてしまったのだ。


「あのね…僕が討伐した魔物の中に…

 何かしらの石っぽいのを落としたのが、

 いたような気がしたんだ」


「魔物が落とした石…なら魔石の可能性がある…な」


「ちょっとカバンの中、探してみたいから何処か…

 テーブル?みたいなのがある空間って無いかな?」


「あ~…ひっくり返して石だけ探し出すつもりか?」


「(近いが違う…でも、そう思われた方が無難?)

 うん、多分…奥底にある気がするんだけど、

 カバンを此処でひっくり返したりしたら、

 何でそんなモノが?って言うのもありそうだし…」


「お前さんが認識して無い物も含まれてる可能性がある…

 と言う事か」


「と言うよりね、どの魔物が何を落とすか…て言うの、

 あまり知らないんだ」


「「「そう言えば最速で高レベルに達したんだったな」」」


 数人の声が同時に発せられてしまったが、言い得て妙だと思ったからこそ、出てしまったのだろう。


「うっ…好きで高レベルになったんじゃ…」


「判ってるさ。まあ、

 見られたくない物も入ってるだろうから、

 テントを出してひっくり返せばいいだろ」


 あ、そっか。そこまで頭…回ってなかったわ。


「石らしき品があったら、

 ハンターさんに見せれば魔石か否か、

 判るって事で合ってる?」


「おう。俺だけじゃなくて、

 此処にいる連中は全員、見て判るからな」


「すごーーーーーーい!

 流石だね!じゃあ探してみるね!」


 流石「鉱夫」ってこったな。


 テントをマジックバッグから取り出したように見せかけ、中に入り、ボックスに死蔵しているであろう石類をバサ…と出してみた。


「…何これ…こんなに魔石ってドロップしてたっけ?」


 どう見ても小山が出来ているのに戸惑ったリョータ。


『すまぬな…それらも異世界の神々が送り付けてしもうた品じゃ』


 え…っと…八百万の神様でぇ…鉱石関係を扱う神様がぁ…ヤラかした?


『そうじゃ…すまんのぅ』


 何ヤラかしてんの鉱山の神様!


 鉱山の神…金山彦神かなやひこのかみがバツの悪そうな声で


『申し訳ない…とは思ったのだが、

 どうしても関わりたいと思ってしまって…

 ヤリ過ぎたとは思っている』


 と言葉をリョータに届けてしまう。


 えっと…名前をお伺いしても?


『そうだな…ヤラかしておきながら、

 名前を教えていなかった。

 我の名は金山彦神かなやひこのかみと言う』


 かなや…彦神ひこのかみ様…今度からは増やす前に一言、下さるかメモのような物を入れて頂けますか?じゃないと驚き過ぎて声に出しそうです。


『…そうして良いのか?其方そなたが望んでしまえば、

 日本こちらの神々が喜々として品を送り届けてしまうぞ?』


 …覚悟は出来ましたよ、驚きたくないですし、異世界こちらが明治初期くらいに発展すれば、喜ばれそうですから…。


 もう苦笑するしかないリョータは、八百万の神々の「やらかし」を受け入れる他なさそうだ、と腹を括ったのだった

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