第400話:絵師に交渉…即決?!
絵師が住まいにして居る場所へと「戻って来た」リョータは
「今晩は~」
と如何にも「今、来ました」とばかりな挨拶で、入って行った。
時間的に夕方だったからこそ「今晩は」にしたのだが…
「…こんな時間に何の用?
さっさと帰ってくれない?」
と拒否られてしまった。
「・・・ごめんなさい・・・。
こんな時間になったのはクロフォードしょ…」
商会を手伝って…と言うつもりだったのだが、
「えっ?!クロフォード商会に携われるのなら、
誓約してでもお願いしたいわ!」
と食い気味に言葉を被せて来た。
「え…どんな内容をお願いするか聞かなくていいの?!」
「わたくしに願い出るのですもの。
特殊な事柄なのでしょう?」
「うん…多分…特殊だと思う」
(設計図を書いて欲しいなんて、頼まれて出来るか判らないのに即決ぅ?!)
「特殊なら決まり事を守ってでも携わりたいのよ」
「…じゃあ用意して来た誓約書を読んで、署名して下さい」
レイたちと誓約した時の文面のまま、絵師の女性にも誓約して貰い、ようやく彼女が「ソフィア」と言う元令嬢で有ると判明する。
「これで…クロフォード商会で何が行われてるか、
判るのですね」
「…他言無用な事が行われてますので自慢できませんよ?」
「判ってますわ」
「その・・・扱い方として令嬢に対応する話し方で…
いいのかな?」
「あら、それは変ですわよ?
サミー嬢には普通になさってるのでは有りません事?」
「あ・・・」
高慢ち…げふん…小桜を欲しがった令嬢のイメージが強烈すぎて、残ってしまって居たのだが、よくよく考えるとサミーとは普通に会話して居る。
「わたくしは既に勘当された身ですし、
図案を描けるのならば庶民のように対応して頂けるなら、
そちらの方が良いですわ」
「・・・じゃあ俺も普通に会話する。
恐らく外にクロフォード商会の
俺の事を見張ってる筈なんだ。
この家から出る方法ある?」
いきなり子供な話し方から大人になった事に驚きはしたが、他の商会が何かしらを嗅ぎ付け、リョータを追いかけて探してるのだと理解したのだろう。
ソフィアが
「この屋敷には逃げ場が無いのです」
と申し訳なさげに回答した。
「だったら追加で誓約して貰っていいか?」
新しい誓約書を用意して、その短い文面を手渡す。
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誓約書
リョータが使う魔法の全てを
他人に口外しない事
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たった2行では有るが、それで「どれだけ大変な事柄」が行われるかを理解できた。
「…判りましたわ」
即決で追加の誓約にもサインしたソフィア…彼女の傍まで行き
「僕が君の手を取るのは失礼だろうから、
服を掴んでてくれ」
と服を持つよう願い出た瞬間、転移の魔法でクロフォード商会へと飛んで行き、自分専用となる空間…囲いだけを作って居た場所…へと到着してしまう。
「・・・とんでも無い魔法を持って居るのですね」
呆れた声でクロフォード商会に到着した事を理解できた女性…居残った職人はゼロだと判ってるからこそ出来た荒業でも有ったのだ
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