第444話:何で?どうして?!こうなった!?

 リッツェ入口は冬の間、閉鎖されて居たのだろうか、住民や行商人たちの為に扉を開いていように見え、間に合ったかなー。と呑気に構えて門番へと向かったリョータだったが、近づくにつれ「あれ?」と首をひねる事となった。


「お?新学期が始まる通知が来たんだな」


 すっかり顔見知りとなった門番に声を掛けられ、疑問に思った事を引っ込め


「うん!何を教えて貰えるようになるのか楽しみなんだー!」


 と年相応な声音と態度で嬉しそうに話しながらも「どっかで嗅いだ匂いがするぞ?」と思って居る。


「そうか。お前さんは規格外で魔法学校から騎士学校に行かされたんだっけか?」


「うっ…それ、言わないでよぉ」


「あはははははは!そんな態度を見れば普通の子供なのになぁ、

 まあ勉強がんばれや」


「ふわぁ~い」


 気の無い返事をして町中に入った瞬間、フリーズ。


 チョット待トウカ日本ノ神様?何ヤラカシタノ?!


 そう…そこに広がって居たのは日本の祭りではおなじみの光景。


 屋台がそこかしこで品物を売り朝から大賑わいしているのだ。


 武器屋のおっちゃん近くには「どうみてもタコ焼き」の屋台が有り、日本の八百屋のようなおばちゃんの店近くには「どうみても箸巻き(箸にお好み焼きのような食べ物を巻いた品)」が有り…と様々な屋台が並んでいるのだ。


 フリーズしてしまったリョータに気付いたのはディラン。


「あー…リョータは、んだな」


 ギギギ…と音が鳴りそうな形で顔を団長の方に向け


「え・・・っと・・・これ…何が起きたのか伺っても?」


 と戸惑いの顔をした。


「それはなー…料理を作る職人たちと鍛冶を担う職人たちに夢渡り…

 では無いな、記憶干渉…と言うべきかな?

 何かしらの要因で見て居る光景が刻まれたそうだ」


 ヤッパリ、何シテンダヨ!神様タチ!!


 そう「ユーチューブのように動画が見れたらイイのになー」とは思った、思ったけれど「実行して欲しい」とは望んでない!(断じて…多分。)


 望んで無いのに夢と言うか記憶に流し込めば「どう」なるか、なんて想像できるだろうに…と内心で怒り心頭プラス呆れた溜息を吐き出してしまう。


「そ・・・そうなんですね。で、でも…

 どれくらいで作られたか聞いてます?」


「それがなぁ…1日だそうだ」


「・・・はっ?!いっ…いちにちぃぃぃぃぃぃ!?」


いくら何でも「啓示」と捉えたとしても「早すぎる」と思ったのだ。


「まあ驚く気持ちは判るんだがな、

 あんな品を記憶に刻まれちまったら職人は…な」


「・・・あー・・・」


 納得せざるを得なかった…いや納得した。


 職人は「新しい知識」を貰ったら「試したくなる」生き物で有る…と何かで聞いたか見知ったか、うろ覚えでは有ったが記憶の奥底に「職人は新しモン(もの)好き」だと残って居たからこそ、納得したのだ。


「まあ、露店…とか言うらしいんだが、それを出店させるのさえ、

 速攻だったと聞いたからな」


「うわぁ・・・」(どんだ…言ったら駄目なやつ~…てか言いたくなるわな)


 神々のヤラかしに説教する、と決めたリョータは新学期の顔見せだけの教室へと向かったのだった

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