第435話:リョータの料理指南準備

 連絡を入れて届いた日時に合わせて侯爵家から馬車が来る…らしく、前回と同じ場所で待って欲しいと手紙が届き、驚きを隠せないで居た。


「それにしてもルーカス様のお父上?でいいのかね。言い方…

 理解ある方なのか、それとも白米が美味い過ぎて、

 待ち望んで居たのか判らないけど、

 スムーズに行く事を素直に喜ぶべき…か」


 流石に転移魔法を「持ってる事を隠して居る」リョータが、ポン♪と転移で屋敷に移動しようものなら、天地がひっくり返るくらいに驚かれるのは確実。


 迎えの馬車が来てくれるのは助かる事案だった。


「ぜーったい、教え始めたらB.G.M.に料理番組で流れるアレ…

 出て来そうだよな脳内に…」


 3分料理番組が始まる時、必ず流れるアレが耳にこびりついて居るからでは有るが、アシスタントのセリフを真似て説明できるか?と言ったら無理だ。


 番組は「あくまでも」シナリオ通りに手順が組まれて、何をどう説明するか、リハ(リハーサル)が行われて居るのは確実。


 そうなると、自分は「用意する物は油を塗った木製ボウル、冷めた御飯もしくは温かいご飯、卵、醤油、塩こしょう」と羅列するくらいだ。


 いちおう「卵チャーハン」にプラス出来る品としては、ネギくらいだが、リョータは「細ネギ」が異世界こちらの世界で何と呼ばれてるかを知らない。


 そうなると卵かけ御飯をチャーハンに…くらいしか教えられないのだ。


「一応、料理人さんだから、コーン…って有るのかねぇ」


(御座います)


 久しぶりにナビが反応し、そう言えばナビが有ったな…と今更ながら聞く事にしたのだ。


「だったら日本で言う所の、細ネギってある?」


(御座いますが名前が違います。細ネギではなく「ネーギ」です)


 ・・・ひねって無いんかーい…て有るのなら、グリンピースは?


(流石に御座いませんが、似た野菜は御座います)


 まあ、料理人さんが、何を材料に使うか判らないから…って野菜や肉類を用意してくれる可能性は有る…か。


 料理人任せでは有るが、現状では頼る他ないのだ。


 そうなると、他のレシピも考えないとなー…と見た目と鑑定結果から料理を考えるしかないと楽観的に思った事が後々、(別の意味で)大変な結果を招く事になるとは、この時リョータは気づけなかった。


「持って行くものは特にないよな?

 白米は屋敷の料理人さんが用意してくれるだろうし…

 他の材料も用意して…くれるよね?!」


【そんな事をわたくしに聞かれても答えられませんわよ?】


 めっきり討伐に出る事が無くなってしまい、癒し要員と化してしまっては居るが、小桜を呼び出し来て貰うも、相手の都合を聞かれて小桜が答えられる訳も無い、とキッパリ返事されてしまった。


「まあ、ボックスに死蔵してる品も有るから何とかなる…か」


 何とも前向きでは有るが、それが「巻き込まれ体質」だと言う事に気付いて居ない(らしい)

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