第436話:リョータの料理指南?(1)

 約束当日、侯爵家から馬車が以前、寄せられた場所に到着し、乗り込めばさっそく、フェルナンデス家までガタゴトと揺れずに移動して行く。


(でもなぁ…異世界では卵は鬼門…だったりすんだよなぁ。

 食中毒関連が関わって来そうだし。

 火入れするから安全だとは思うけども…不安しかないな)


 日本で卵かけご飯と言えば専門の食堂すら存在するくらい、ポピュラーな食べ物では有るが、異世界では初の食べ物で有り、衛生面から拒否られる可能性の有る食べ方だろうと推測して居る。


 しかし作る過程は生では有るが、最終的には過熱するので大丈夫かな?と思って居るのだが、それよりも説明が下手すぎたら…と言う方に緊張してしまって居るのだ。


「リョータ様、到着しましたので、

 メイスンの居ますキッチンにご案内いたします」


「はっ…はいっ…お願いしますっ」


 考え事をしていた為に、到着して居た事に気付かず、慌ててしまったリョータだが、何も持って来て欲しいと言われて無いけど大丈夫だろうか?と言う疑問が、今更ながら沸いて来る。


(あれ?そう言えば御飯を使った料理を教えて欲しい…

 とは言われたけど、何も持って来て欲しいって言われて無い…

 よ…な?大丈夫なの?!)


 普段、侯爵家で使われて居るで有ろう、材料は取り寄せて有る可能性は有るが、リョータが作ろうとしている「卵チャーハン」や「おかゆ」「卵雑炊」「オムライス」に「入れるで有ろう調味料や材料」が有るか?と問われたら「無いかも」と不安になったのだ。


 キッチンへと案内されて行くのだが、使用人たちの視線が期待に満ち溢れて居るのに、リョータは戸惑った。


 な…何故、期待に満ち溢れた顔つきで俺…見られて…あ、まさか。


「やっと来たか!待ってたぞ!!早速、1個目を教えてくれ!」


 その予感は的中しており、メイスンが何もかもを用意した状態で待ち構えてる姿がリョータの目に飛び込んで来たのだ。


 チョット待トウカ侯爵家ノ料理人サン…イクラ待ッテタト言ッテモ、ソレハ無イデショ?!


 リョータが驚愕の目を向けた先…そこには、ありとあらゆる野菜や果物、肉に魚(と言っても生ではなく、火が入った状態で置かれているっぽかった)が所せましと並んで居る光景だった。


「・・・あの・・・僕、子供だから、

 そんな大量に用意されてても…10品とか教えられないよ?

 ルーカス様から何も聞かされて無い?僕、記憶ないんだけど…」


 そう、ここで「記憶喪失」が役立つとは思いもしなかったが、ここは使わさせて貰おうと「申し訳なさそうな顔」でメイスンを見ると、期待でいっぱいだった顔色が、瞬時に青くなって行き


「す・・・すまない!

 記憶が無い子供に料理を習おうなんて、

 思ってしまったなんて!

 1品でも教えて貰えるのが嬉しすぎて…」


 料理人が新しいレシピを知りたいと言うのは判る…判るけれど期待の仕方が半端なく「凄すぎた」のが困惑の原因だと判ってくれたみたいだ。


「一応、僕が覚えてる範囲でイイって条件だけど、

 3品くらいなら教えられるよ?

 それぞれの品はアレンジできるとは思うけど…」


 驚愕な出だしでは有ったが、1品目を教える事が出来そうな雰囲気になって良かったと、胸をなでおろしたのは料理長を補佐する料理人たちだった(そうな)

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