第176話:幻と呼ばれる白金貨が発行される(らしい)

 リョータによって「未開拓の迷宮ダンジョン」でドロップした多くの品を鑑定した結果、莫大な富になると踏んだギルマスが大金貨の上に当たる白金貨を発行せざるを得ないと判断した。


「リョータ、ちょっと相談があるから執務室まで来てくれ」


「?わかったぁ」


 何だろ…。雰囲気が緊張してるように見えたけど…素材が多すぎて鑑定に時間が掛かるなら受付で言える筈。


 と言う事は、それ以上の事が告げられるって事か。


 ギルマスに続いて2階へと昇って行くのだが、俺の背中に向けられる視線は何故か尊敬の眼差しと金持ちに向け眼差し。


 商人なら判るよ?判るけど10歳の子供ガキに向ける視線じゃねーだろ?


 何でそんな視線になってんだ?


 訳も判らずギルマスの執務室へと到着すると、座るように言われる。


「先ずは座ってくれ」


「う、うん。僕、何かしたのかな?」


「そう言う訳ではなくてな、

 リョータが持ち込んでくれた素材やら武器やらが、

 だったんでな」


「は?!さ、さいこうきゅう!?」


 ナニソレ、ソレスラモチートデスカ!?


「その査定に時間を貰いたいと言うのと、

 大金貨で渡すには袋の量が足りなくてな…」


 苦笑を浮かべるギルマスと目が点のリョータ。


 大金貨を袋で渡すには足らない、と言う事は1袋当たりの枚数が50枚…と言う事をかんがみれば、おのずと「いくらの値が付いたか」把握できる。


「そこでな、幻と呼ばれる白金貨…

 大銀貨の上は大金貨(1枚100万)になるんだが、

 それより上の金貨を発行しなければ、

 支払う事すら難しい状態なんだ」


「・・・ねぇ・・・

 もし、大金貨で報酬を支払ったら…

 どれくらい袋が必要になるの?」


 まさかと思うが、か~るく億こえるとか言わんでくれよ?


 そしたら定期的に薬草摘むくらいで討伐には手出さなくなっちまいそうだ。


「そうだな……袋では数えられんから金額で言うと、

 5億ディルにはなるだろうな」


「ご・・・ごおく・・・」


 一体、あのダンジョンでドロップした品は何だったんだろな。


 出さなかったアイテムとしてはプラスティックとキノコ類。


 出したアイテムとしては武器が5本に防具が2つ、何か判明しなかったモノが10個・・・。


 もしかして、その判明しなかった品が「とんでもなかった」とか?


「で、白金貨を発行するのに1か月、

 かかるんだが、

 カード振り込みで良いなら待たせなくて済むぞ?」


「幻の白金貨を見たいから1か月後に1枚だけ、

 取りに来てもいい?」


「それなら1枚以外を振り込んでおこう」


「ありがとー!」


 あ~…あの視線は幻の白金貨を発行される事に対する眼差しだった、って訳か。


 ってぇ事はぁ…


「・・・又、絡まれるの?」


 ボソリと呟いた言葉を拾ったギルマスは、


「その懸念を取り払っておこう」


 と絡まれ体質のリョータを気遣ってくれたのだった

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