第161話:巻き込まれ体質、発動?!(1)

 学園長が阿呆どもを引き留めてくれたおかげで、ようやくリッツェから自宅を作った森へと通じる門へと向かう事が出来たのだが、ここでも阿呆は抜け出していたらしく、リョータの後を「気付かれてない」と思い追いかけているのだ。


 何だろ…。


 1・2年生には阿呆いないのかねぇ。


 俺が強い秘密を「盗み見る事が出来たら」とか思ってストーカーしてんだろうけどさぁ、見て強くなれるんだったら全員、なってるだろーに。


 その説明してる筈だけど・・・これはないよなー。


 門番がいるので、手続きをしないと外には出られない筈なのだが、それすら抜けてるのか、意気揚々とストーキングしているのだ。


「お?リョータ、

 こんな時間にどうした?」


「うん、

 僕に絡む阿呆が多くてね、

 自宅で勉強する事になったの」


「そりゃー災難だったな。

 折角、魔法や剣術の勉強が、

 出来ると思ってただろうに・・・」


「仕方ないよ。

 僕がワイバーンさんやドラゴンさんと知り合いだった事から、

 何が強さの秘訣かって言うの、

 知りたいって言う人が多くなったんだもん」


「あ~~~。

 確かにワイバーンたちは強いと有名だもんな。

 その彼らに助力して貰えるリョータが、

 何故強いか知りたいって事か」


 わざと門番はリョータの後ろに張り付く生徒を見逃した。


 それはリョータが何かしらする気配を漂わせていたからでもある。


「うん。

 だから自宅で僕への対応が決まるまで、

 待機する事になったんだ」


「まあ、お前なら安心して森へと送れるが、

 阿呆な輩が追いかけたとして無事とは言えないもんなぁ」


「襲撃されちゃったら自業自得でしょ?

 まあ得な事は一切ないだろうけどさ」


「確かに。気を付けて帰れよ?」


「はーい!」


 リョータのランクを知ってる門番は、そのまま素通りを許し、リョータの後を追いかけてる阿呆は「自覚して貰う為」にスルーしたのだ。


 門番さんが気づいてくれて助かったな。


 あの阿呆には少し、痛い目に遭って貰うか。



 * * * *


 ストーカーされる形で自宅のある森へと分け入って行き、常駐依頼となってる薬草を摘みつつ、最奥へと向かって行く。


(何処へ奴は向かってるんだ?

 この奥へ行けるのは、

 相当なレベルをゆうする冒険者だけだが…)


 さて、この辺で・・・転移っと。


 一瞬の内に数メートル先にいたリョータの姿が見えなくなり、追いかけてた生徒が大慌てする。


「なっ?!き、消えたぁ?」


 大声を出した事で強い魔物が彼の存在に気付き、襲い掛かろうと集まって行く。


「ガルルルルルっ」


「え…まずい。シルバーウルフだ!

 逃げ・・・」


 すっかりシルバーウルフに囲まれてしまい、身動きが取れなくなった阿呆。


「だ、誰か助けてくれ!」


 叫んだって助けが来るとは限らない。


 危険な森に入るには「それなりの装備」を用意して入るのが常識。


 なのにリョータを「追いかける事だけを考えた」結果が「これ」なのだ

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