第162話:巻き込まれ体質、発動?!(2)
どうしよう、どうしようと右往左往するのだが、魔法を発動させて退路を作ろうと考え、中二病か?と突っ込まれそうな詠唱準備に取り掛かってるのが見受けられた。
リョータが転移した先は彼の頭上。
その様子を見降ろして溜息を吐き出したのだ。
こいつ…阿呆?
こんな長々と詠唱してたら1匹なら対応可能かもしれないけど、何十匹といる魔物じゃあ死にたいとしか思えないやねー。
俺でさえ「スタンガン」とか「エアガン」とか短い言葉で魔法を使えるようにしてるのに、これだと後ろから襲われたら最後だねぇ。
まあ、後悔先に立たずとしか言えないけど、少しだけ反省して貰おうか。
強い秘密を「見る事が出来れば」と「追いかけた」であろう阿呆。
前後左右と魔物に囲まれてるにも関わらず、1匹にしか魔法を掛けようとしない愚鈍さ。
多少の怪我を負って貰い、助けを請うか謝罪を口にすれば、手助けするつもりで構えた。
「炎の神に願う、我に敵を殲滅せし力を・・・うわぁ!」
あーあ。
詠唱途中で襲われてらー。
長い詠唱だと襲われるって授業で習ってる筈なのにねぇ~。
阿呆ゆえ、記憶から綺麗さっぱり消えてるのか?
まあ「馬鹿に付ける薬は無い」だけど阿呆は…うん。
救いようが無いやね。
「誰か・・・リョータ…
助けてくれ…いや、
助けて下さい!
追いかけてた事は謝るからっ」
あ~あ、必死だねぇ。
半分、倒してやるか。
「
ウィンドカッターでも良かったのだが、リョータは実験して無かった為、使った事がある魔法で一番弱い威力を放ち、半数の魔物が倒され、阿呆が唖然とするのが見えた。
「一体、何が起きた?」
「・・・そりゃー僕が倒したからだけど?」
何処にいるのか理解できてないが、その声はリョータだと理解できたであろう阿呆が
「ど、何処だっ!
出て来て強い秘密を見せやがれ!」
と「大声を上げて」訴えたものだから、周辺を囲ってた魔物たちが一斉に襲い掛かろうと地面を蹴ったのが見えた。
「僕に構う暇があったら倒した方が良くない?」
言われて気付く辺りが阿呆たる原因でもあるのだが、この阿呆…再び長々と詠唱しようとしてるのだ。
「ほ、炎の神に…ぎゃぁ!」
左手に噛みつかれ大けがを負ってしまっても尚、詠唱を短くする…と言う発想に至らず「どうしたら倒せるんだ?どうすればリョータをおびき寄せられるんだ?!」などと口に出しているのだ。
反省してりゃー大怪我しなくて済んだのにねぇ…。
ここまで阿呆だと助けなくてもいいかな?
「・・・何の装備も持たずして、
森に入って来たんだから自業自得だよね?
ここは冒険者が討伐や採集依頼で入る森だよ?
それを知ってて入ったんだったら、
それなりのレベルを持った冒険者でしょ?
だったら対応して乗り切ってね、
じゃあ僕、帰るから!」
「ま、待ってっ…
助けてくれ!
冒険者じゃない!
俺は一般の魔術師だ!」
「・・・だったら学校で習ってるんでしょ?
魔物と対峙する時の心構え・・・
聞いてるんでしょ?
まあ、このままだと死ぬしかないから助けるけど、
反省してよね」
阿呆の周囲にいる魔物、全てを
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