第169話:いざダンジョンの街へ!と思ったが…

 非公式でダンジョンを踏破してしまってはいるが、依頼として踏破は出来ていない。


 流石に「最上級ダンジョン」をFで攻略してしまった、とバレた時の騒がれようは黒歴史だ。


 今のレベルなら例え最上級ダンジョンを攻略しても騒がれる事は皆無と言えるだろうが、年齢で騒がれるのは確実。


 ただ表面上「最下級ダンジョン」なら年齢で受けられないと言う事は無いと願いたい、と思いながらダンジョンの街では無くティングへと向かう事にした。


 勿論、あの令嬢が暮らすアヴェルは森を抜ける事で通過する事は決定してる。


 小桜に乗せて貰い行く方法もあるのだがユニコで行きたいと望むが無理そうだった。


「ティングに行くのに小桜ではなく、

 こむぎで行きたいんだけど、乗せてくれる?」


{構いませんがティングの場所を知りませんの}


「あちゃ~…知ってる場所で騎乗したいから、

 何処を知ってるか教えてくれると助かる。

 小桜、今回も宜しくね」


{勿論ですわ}


【流石にアヴェルはペットとして欲しがる令嬢がいましたから、

 避けて行かざるを得ませんものね】


「そうなんだよねぇ…小桜を諦めてくれてるんだったら行けるけど、

 あの執着ぶりだと未だ狙ってそうでしょ?」


【そうですわね。

 あの時、ティングに向かう門で、

 フェンリルを連れた子供を探してる雰囲気、

 ありましたものね】


「それさえなきゃ…ねぇ…」


「【はぁ…】」


 盛大な溜息を吐き出してしまうのも無理は無い。


 娘が欲しがり父親が「ほだされ」小桜を「譲れ」と言って来た。


 勿論、家族を売り渡す気は無かったので、その場は事なきを得たのだが、娘は諦めておらず、父親に内緒で「指名手配」してしまったのだ。


 だからこそ小桜では無くゴマを出しアヴェルから脱出する事が出来た。


「さて、今から出るとしても野菜のストックは余裕だけど、

 肉類が少ないよな。

 うん…討伐で食える肉があれば1匹、

 討伐より多く倒せば自宅用に出来るかな?」


 又もや腹黒い思惑を抱いたリョータの笑みは、悪だくみを考えた笑みだと誰もが気づく程ではあるが、周囲にいるのは従魔たちだけ。


 小桜は見慣れたもので、


【出発なさいますの?】


 と平気で声を掛ける始末。


「他の皆~影に入ってくれる?」『[《{はーい}》]』



* * * *


 ティングに向かうにも1泊はしなければならないので、前回、野宿した場所へと腰を下ろす。


 自宅には不可視の魔法を掛け「見えない状態」にはしているが、万が一の事を考え、玄関には「誰かが触ったら電流が流れる」と言う「とんでもない」魔法を施している。


 魔物が自宅に来る事は無いだろうから、玄関だけに魔法を掛けたけど、何も無い…よね?


【どうでしょうか。

 あるじの魔法は完璧でしょうから、

 見破られる事は無いでしょう。

 しかし、

 偶然に扉を見つけてしまう可能性が無いとは…

 言えないですわね】


 好奇心で森の奥へと入って来る阿呆がいないとは言い切れないからだが、扉に何かしら仕掛けを施すなど、普通は有り得ないのだ。


「ま、なるようにしかならねぇやね」


 ゴロン・・・と横になりティングでの依頼に、ダンジョン探査がある事を願い、眠りについた

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