第170話:ティングで依頼書確認の筈が・・・

 翌日、目覚めてから行動が起こせるまでゆったりと過ごし、ティング近くの森へと転移した。


 さて、依頼にダンジョン探査とかあれば受けたいけど、流石に意地悪な冒険者が邪魔して来る可能性あるか。


 まあ無かったら無かったで許可なく潜る事が出来るだろうから、変わったダンジョンに潜れたらいいな。


ティングの門を通過し、ギルドへと向かうのだが、リョータに向けられる視線が刺々しいのだ。


 なに・・・?この視線の向けられ方…。


 俺、何もやってないぞ?!


 その視線はまるで犯罪を犯した者では無いか?と言う視線なのだ。


 ギルドから出て来たブラッドと遭遇。


「リョータ、お前はアヴェルで何かしでかしたか?」


「ブラッドさん?

 アヴェルで何もしてないけど…もしかして、

 指名手配されてる?!」


「・・・ああ。

 何でも領主の望みを叶えなかったとか何とか…」


「・・・それ・・・

 僕の従魔を欲しがったから拒否しただけだよ」


 やっぱり…全地域に指名手配しやがったんだな。


 リッツェだけは手配、掛けなかったのは何でだろ?


 こうなったら俺を知らない海の向こうへ旅立つ事も検討しないとな。


「何て事だ。

 冒険者の従魔を欲しがるなど、

 正気の沙汰じゃない。

 お前、王都まで飛んで

 王城にアヴェル領主に対する警告を出して貰え」


「へっ?!そんな事して大丈夫なの?」


 その問いに対してブラッドは小声で


「お前は王都を守った冒険者として名が刻まれた。

 だからこそ、希望を伝えるだけで叶えられる筈なんだ」


 ナニ、ソレ、ドンナチートダヨ!


 その後、ティングでの手配書は「間違った情報だった」と言う事で解除され、疑いの視線は有難い事に消え去ってくれた。


 改めてギルドに入り、依頼ボードを見る(勿論Sランクの場所)。


 やっぱ、ないやね~。


 既に剥がされたのか、Sランクの所に依頼は皆無だった。


 常駐依頼すら何もない状態なので、ティングでのダンジョン探査は諦め、アヴェル側にあるダンジョンに潜る事にしたのだが、手配書が解除されている事に「気付いてない」馬鹿どもが絡んで来たのだ。


「おいおい、何で此処ここにいるんだ?」


「衛兵に連絡しなきゃ」


 くすくす…と嘲笑あざわらう声がギルド内に響く。


 鑑定を掛けると全員がAランクの冒険者らしく、パーティーレベルもAと出た。


 ふ~ん…大した事ないパーティがSに絡むのか。


 だったら容赦要らないな。


 一瞬で中くらいの威圧を彼らに向けて放つ。


「僕、犯罪者じゃないって確定してるんだけど?」


 ワナワナと威圧を感じて冷や汗を流す阿呆パーティ。


 阿呆なリーダーがリョータを拘束しようと動いたのだが、


「この…くそガキ!」


 胸倉を掴んだ所で「暴行の現行犯」が成立。


 他のメンツはギルマスが前から来ているのに気付き顔面蒼白。


「・・・ギルド内で暴力沙汰を起こせばどうなるか、

 心得ていると思ってたんだがな」


 胸倉を掴んでいた阿呆リーダー、真っ青になってやんの。


「だ、だって、こいつ、

 犯罪者だろ?!」


「犯罪者ではないと通達が成されてるんだが?」


 室内に張り出されていた筈の手配書に上書きされた文言が貼られており、リョータが犯罪者では無い旨が赤文字で書き記されている。


 上書きされた赤文字が「見えなかった」から「犯罪者と思った」と反論した所で、子供に暴力を…しかもギルド内で起こした事によりランクが1つ落とされる事になった(らしい)

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