第171話:閑話~ファニー王への手紙

 リョータは直接、王城へ出向くよりも手紙で依頼、出来ないか?と考え、ティングのギルド内の一角で手紙をしたためる事にした。


 さて、書き記すなら事の始まりから書かないとな。


 前略…は親しい人へ送る時の挨拶文だわな、お久しぶり・・・は王様に出す文言じゃねぇな。


 確か「何時」「何処で」「誰が」「件名」「何故」「どのように」で書けってなかったっけ?


 うろ覚えだが書いて行くしかねーな。



~~~~~~~~~~

 ファニー王様へ


拝啓、ゴブリンを倒した報酬で自由を貰ったリョータです。


数か月前アヴェルの領地で僕が、ギルドでの依頼を受けるべく、

訪問したらね、領主様の娘さんが僕の従魔フェンリルを

欲しいって言って来たけど拒否したんだ。


その日はアヴェル領地で手配されちゃったけど、

他の従魔と共に歩いたからか、

出立する事が出来たんだ。


だからこそティングと王都の間で起きたゴブリン騒動に

対応できたんだよ。


でね?Sランクのブラッドさんから、

冒険者が使役した魔物を欲しがる事は、

出来ないって聞いたの。


ティングのギルドマスターは真実を知ったから、

手配を破棄してくれたんだけど、

アヴェルでの手配は残ってると思うんだ。


ブラッドさんからファニーの王様にアヴェルの領主様へ

通達を出して貰いなさいって言われたけど、

王都でも手配されてる可能性を考えて手紙で連絡しました。


直接、言いに行けなくてごめんなさい


                   リョータ

~~~~~~~~~~

 う~ん…違和感ありまくりだが、仕方ないか。


 流石に10歳の子供ガキが「大人顔負けな文章」で手紙出したら「あかん奴~」だもんな。


 これでアヴェルの領主親娘が諦めてくれれば御の字だな。


 丁寧に折りたたみ魔法で届ける事…には出来ないので、ギルドを介して王都へと届けて貰う事にした。



* * * *


 受付に到着すると、


「王都に手紙って送って貰える?」


 と聞いてみたのだ。


 駄目だって言ったら王都まで行ってギルドに預けるか、王城へ直接、報告しちまうかだな。


「えぇ。ギルドを介してになるけれど、

 送る事は出来るわよ?」


「じゃあ、これ…

 お願いします!」


 王家から手紙なら封蝋がしてあるのだが、流石に一般市民であるリョータが封蝋を施す訳も無く、封筒に予めノリのような接着剤が塗られて販売されている(らしい)。


「お預かりしますね。

 リョータくんはこれから何処かへ行くのかしら?」


「んとダンジョンに挑戦しようかなーって

 思ってるんだ」


「そう、気をつけて」


「はーい」


 刺々しい視線が消え、普通に接して貰える嬉しさもあり、ルンルン状態でギルドを後にした。


 手紙を預かった受付嬢は、王都への定期便にリョータの手紙を入れ、通常業務に戻りダンジョンから見つかったドロップ品や魔物の素材、薬草などを受け付ける準備に取り掛かったのだ

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