第333話:実物は驚愕的だったようで…

 アイテムボックス持ちだと知らない職人たちは、どうやって出されるのかにも興味を持っていたようだ。


 そしてリョータが出そうとした瞬間


「「「「「「アイテムボックス持ちかよ!」」」」」」


 と驚愕の声が響き渡った。


「…あのさぁ…此処が広場だったらどうなるか、

 予測して大声出してる?」


 はた…と気付いた職人たちは、互いの顔を見合ってバツが悪そうに


「すまなかった」「そこまで考えが至ってなかった」

「すまん」「外に漏れて無いと言い切れないからなぁ…」

「いくらボックス持ちが珍しいとは言え」

「これでは…な」「謝罪しても取り返しがつかねぇな」


 と6人6様の反省が返って来た事で、これなら大丈夫だとリョータは思えた。


「まあ俺が此処に入った瞬間、遮音と不可視は掛けておいたから、

 漏れる事は無いだろうが、気を付けてくれよ?

 せっかく貰ったチャンスを逃して、

 記憶を奪われ戻される事になるんだからな」


 誓約した事が今になって重みを増す…とは言え、一度ヤラかしたら二度としないのが職人魂だと言わんばかりに真剣な眼差しをリョータに向け代表的な存在として決まった(と思われる)ローガンが


「先ほど、我々職人で代表者を決定させて貰ってな、

 私が担当する事となった。

 私の名はローガンと言う…平民なんでな家名は無い」


 と説明したのだ。


「じゃあ、この空間に出すから驚かないでね?」


「ああ、肝に銘じたから頼む」


 アイテムボックスからポン…と言うよりフォン…と効果音が聞こえそうな勢いで、明治から大正な時代に活躍してそうな自動車見本が現れた。


 リョータが口頭説明した通り、見た目は馬車に近い…が全くの別物。


 漆黒の車体に頑丈な車輪…何かしら付属品が付けられているように見えるが、それが何かまでは理解できてない。


 それでも現れた品は職人の「開発意識」を高めるのには十分すぎる存在感だった。


「凄い…」「これが馬の力を借りずに動く代物なのか?」

「乗る場所…と言うのだろうか?何かついてるけど、

 アレ何だろう」

「それに前方部分に付いてる品は何を意味してるんだ?」

「乗る場所に付いてる丸いのも何か判らないね」

「触っても…いいのかな?色々見たい場所があり過ぎる!」


 流石職人、理解できない品が付いているのにも気づき、それが何をする物か判らないから「触ってみたい」と思ってくれたようだ。


「そのまま待機しててくれ、扉を開けて見やすくするから…」


 リョータは今の状態で触ったりすれば、即座に解体し兼ねないと考え、扉を開けた状態で見て貰う事から始めようとした。


「か…解体しないから触っていい?!」


 とうとう我慢できなくなって馬車職人の1人が、解体しないから触りたいと直談判して来た。


「…はぁ…仕方ないなぁ…どうぞ?」


 どうぞ…と聞いた瞬間、魔道具担当は明かりやクラクションとして使っているラッパ部分に食いつき、馬車担当は車軸や車体を食い入る見始め触って行く様を見たリョータとレイは


「凄すぎるな」「凄すぎなんだけど…」


 と感想を漏らすしかない状態とかしてしまい惚けてしまう。


 仕方ない…初モノは興奮するのは何処の世界も共通だったと言う事だ

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