第419話:クラス分け開始…なのだが・・・

 団長から頼まれたから…と言って納得しない輩は居るだろうと、覚悟を決めたリョータは、クラス分け試験の会場へと団長の後を追う形で向かい始めた。


「おい、あの1年生が団長に引率されて行くって事は…」


「何かしら頼まれたか、如何様いかさまがバレたかじゃないのか?」


「1年生なのに何をさせられるんだろうな…」


 コソコソと批判っぽい言葉から疑問の言葉まで、様々な私語が飛び交っては居るが概ね、試験に何かしらの助力を願われた可能性が有るな…と見ている上級生と如何様がバレ、学校から追い出されるんじゃないか?と言う2通りの意見に割れて居た。


(如何様じゃないって何度も指摘されてるのに、

 未だ言われるんだな~。

 試験に助力を申し出られたのは間違いないんだけど…)


 溜息しか出ないリョータだが、団長が説明してくれるからと「それ程、緊張」してなかった。


「全員、揃って居るな?

 これから正式なクラス分けを行う訳だが、

 FからAまでの判定をするにあたり、

 鑑定ではランクが判らないので実力を見る形となった。

 FからAまでの魔物を対峙して貰うのだが、

 どれだけ能力を有して居てもFから討伐して貰う事となった」


「だんちょー(団長ー)!

 そこに居る1年生は如何様してたから、

 処罰を受ける為に居るんですかぁ?」


 クスクスと失笑が起きるのだが、リョータの実力が判って居る、一部の生徒は「こいつら阿呆だ」と遠い目をしている。


「ほお…」


 団長は一言で止めたのだが、その言葉には殺気が含まれFの実力すら持ちわせて無い阿呆は、その場で固まり、失禁寸前の状態と化してしまったらしい。


「これしきの殺気で失禁しそうになるのなら、

 お前の実力はF以下だ。

 例え害が無いスライムに挑んだとしても怪我するだけだろう」


 リョータの実力を知って居る者たちは、あざ笑うかの如くクスリと笑った。


「だ、団長たる上司が…そのような一般人を優遇してイイのか?!」


 指摘した生徒は爵位を持っており、どうやら騎士の家系らしい。


「リョータの実力は知られて居ると思ってたのだが、

 知らない生徒も居たのか…リョータ」


「・・・(いやーな予感)…何でしょうか団長」


「阿呆どもにランクを教えていいか?」


「冒険者ランクなら誰もが知り得て居る情報でしょうから、

 構いませんけど…むしろ、知らないのが驚きですね」


 リョータの予感は的中しており、冒険者ランクを「忘れて居る」で有ろう連中に、教えて良いか?の許可だった。


 ほとんどの生徒が知って居るのに、一部の阿呆どもが知らない事が、信じられない生徒の大半は「こいつら失神しないか?」と心配顔。


「流石に冒険者ランクが低いのはFで最高はSSだと知って居るよな?」


「も、も、勿論です!」


「リョータはSだ」


「「「「「はあ?!い、如何様」」」」」じゃないからな」


 如何様と言おうとした阿呆の言葉に被せるように、団長は「如何様ではない」と断言した事により、口をポカーンと開け、数人は真っ青な顔つきになり、最初に如何様だから処罰を受けると「思い込んで居た阿呆」は立ったまま気絶してしまった。


(あちゃー…ってか、立ったまま気絶とか、器用だな)


「冒険者となって居なくても、

 リョータがSだと誰もが知って居るくらいに有名なのだがな、

 20名近くが知らなかったとは…」


 試験前にゴタゴタが起きてしまい、ランク分けが始まるのが遅くなってしまったのは、リョータの所為せいでは無い…と思いたいと団長は溜息を吐き出した

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