第418話:鑑定がバレた訳では無く…
始業式…とは言わないらしいが、春先の授業が開始される初日、リョータは手紙を送ってくれた団長に審議の程を聞く為、試験前に声を掛ける事にした。
「団長さん」
「おおリョータか。
報告してくれて助かったが、
機密事項も入って居るから他言無用にして貰えると有難い」
「それは承知してますが、最後の一文が気になりまして…」
「ん?何か書き加えて居たか?」
「何か何処ぞのダンジョンで不可思議な液体が見つかったから、
鑑定して欲しい…って書いてたんだけど、
僕に鑑定のスキル…無いよ?」
「あれ?そんな一文、書いてたか?」
「そう言うかもと思って持って来ました」
書いて無いと言われる可能性が有った為、証拠として届いた魔法便を封書ごと持って来てたのだ。
1枚に収まって居た為、まるまる持って来るしか無かったが、判るように見せた。
「…書いてるな…」
何故、自分がリョータに鑑定依頼したのかまで思い出せず、困惑している様子が伺えた。
「え…?もしかして無意識ですか?!」
「いや文面を見ると考えて書かれてるのは判るんだが、
リョータ宛では無いんだ」
「…最後の1文…別の人の手紙に書く筈だった…とかですか?」
「まあ、結果的にそれが正解なんだが…
どうしてリョータ宛の手紙に書かれてしまったのかが、
全く思い出せなくてな…すまんな」
「・・・いえ・・・」
2枚重ねて書いた結果では無いかと、リョータは予測を立てた。
ただリョータの考え方は日本式で、正しいとは限らないと思って居るのだが、実は正解だったと後になって判る事となる。
「所で今回、実力に見合ったクラス分けをする事になったのだが、
リョータは冒険者としてのランクはSだったよな?」
「あ、はい(表のランクは…だけど)」
「でだ、FからAまでランクをリョータと対戦する事で把握できないか?
と言う意見が出てな」
「へっ?!な、何でそんな事になったんですか?」
思わず「聞いてないよー!?」と内心で叫んでしまった。
「お前さんならFからAまでの魔物を把握してるんじゃないか、
と言う意見が多数でな…」
「全部の魔物を把握してないよ?」
「あー…そう…だよな」
史上最速でランクが上がってしまった彼だった、と思い出したからこその言葉だったが、それすら抜け落ちてしまう程、多種多様な巻き込まれに遭遇してしまって居る。
そうなると試験内容を変更せざるを得ないな…と頭を抱えてしまった。
あれま、他の案を考えて無かったっぽいな。
じゃあ妥協案、出してみるか。
「だったら僕が補佐する形で、
魔物がFからAまで居る森に行って、
討伐して行く方法を取れないかな?」
「え?いいのか?!そうなるとリョータの負担が大きくなるぞ!?」
「1日で終わらせる事になってるんだったら負担は大きいかもだけど、
数日に分ける形なら、それほどじゃ無…まさか1日?」
「いや、流石に多いからな数日には分ける算段になった」
「だったら1グループ?って言い方で合ってるか判らないけど、
人数制限して森に入って1人ずつ討伐してランク、
把握したら良いと思う」
こうしてリョータが危険になったら助ける形で、クラスを決める事となったのだった
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