第417話:雪が解け春先に届いた手紙

 雪深い季節は過ぎ去り、ようやく異世界に春の気配が漂い始め、新学期の案内が届いた頃の事、リョータにちょっとした報告の手紙が届いたのだ。


 雰囲気的に「ぽん♪」と言う効果音が聞こえて来るように届けられた魔法便は、団長さんからだった。


「あれ?団長さんから手紙が今、届くって…何を意味してるんだろう」


 蛇のような魔物…Sが5つも並ぶような強者の事ならば、速攻で連絡が来そうなのに新学期が始まる直前に来たものだから、何を意味してるのか理解できなかった。


 封を開け中身を確認して行くと、どうやら最強クラスの魔物がアナコンダーと言う蛇種で騎士団、上層部にしか浸透して無い魔物らしく、住処すみかが判ったとしても、討伐には行けないだろう、と言う見解が返事として届けられただけでなく、新学期は正しいクラス分けをする為、試験から始まるだろう事がつづられ、最後の一文に目を見開いてしまった。


「はあ?!な、何で鑑定の事がバレてんだ!?」


 何処だと指定はされてなかったが、ダンジョンで未知の液体が見つかり、その鑑定をして欲しいとの事だった。


 そう、驚いた理由は「鑑定を持って居る」と言う事は「誰にも白状してない」にも関わらず「鑑定して欲しい」と書かれているのだ。


「学校に行ったら団長さんに聞かないとな。

 俺が鑑定を持って無いのに何故、

 持ってると確信して手紙が送られたのか…と言う事を聞かないとマズイ」


 鑑定を持ってるのは、ごく一部で、持って居る事は隠せと神から言われて居て、今まで、誰にも持って居る事は教えてないし伝えて無い。


 にも関わらず団長から「鑑定して欲しい」と願い出られたから不安になったのだ。


「でも俺に鑑定を依頼する品って何だろう…

 もしかして開発中の品に関係が有りそうだと踏んで…?

 んな訳ない…か」


 一瞬、車開発に欠かせないで有ろう「オイル類」が見つかったのか?と思ったが、何を開発してるか等、知られてない。


 知られて無い物を鑑定して欲しいとは望まないな…と考えから外した。


 例え何かを開発してる…と知って居たとしても「鑑定を持って居る」と「知らなければ」依頼しない筈。


 なのに「持ってる」などと言った記憶も伝えた記憶も無いのに「依頼して来た」事が信じられないのだ。


 しかし興味は有る…何が見つかったんだろうか?とか何を鑑定して欲しいのだろうか…と言う事。


「何で俺に団長さんは依頼を出したんだろう」


 その事も気になった。


 鑑定を持って居ると言うのを知って居るのなら、依頼を出されても「それ程、気にする事無く」受けただろう。が、持って居る事を「知らない」のに「依頼して来た」のが疑問なのだ。


 何故、団長は「鑑定を持って居る」と知らないのに「鑑定してくれ」と依頼したのか…と

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