第420話:クラス分けの討伐はFランクから

 流石にSランクの魔物から討伐してしまうと、死人しか出ないのは判り切って居るので、冒険者の駆け出しと同じ方法を取る事になり、Fランクの魔物から1グループ10人で挑み始める。


「ランクを見て貰うのは主にリョータが行ってくれるようになっては居るが、

 流石に対応できない生徒も居る可能性が有る為、

 Fさえも倒せない者に関しては我々が保護する事にし、

 新たなランクGとする事となった」


 あれま、Fが冒険者ランクは最下位なんだけども、それ以下のランクは無いから騎士科での限定ランクを作ったのか。


「その事は生徒に説明してませんが…

 大丈夫なのですか?」


 そう…今、教えて貰ったのはリョータにだけ。


 生徒が集まって居た場所での発言では無い事が気がかりなのだ。


「まあ、明らかにスライムすら討伐できないと知っても尚、

 Fランクのクラスに行きたいとは言い出さないだろう?」


「・・・居たらどうするんですか・・・」


 言う人物は少ないと「思い込んで居る」団長と、言う人物だらけだと「判り切って居る」リョータ。


 どちらが正しいかなど、私語が聞こえて居れば判る事。


「いくらSランクだと言っても相手は子供だぞ?

 そんな子供にランクを決められたく無いんだが…」


「そう言うな。団長も付き添って下さって居るんだ。

 最悪、団長に判断して頂ければ良いだけだろう?」


「それもそうか」


 リョータにランクを決められたくないと言う爵位持ちな生徒が7人。


「自分のランクを正確に知る事が出来るのは嬉しいな」


「そうだね」


 ランクを知る事が嬉しい3人とに別れて居て、団長はリョータの懸念を垣間見た気がして内心で盛大に溜息を吐き出して居た。


(いくら何でも10人中7人が否定的とは…

 スライムすら倒せなくてもリョータの所為にしそうだな)


 責任転嫁するつもりな7人に同情する気は無いが、スライムが倒せないと判ってもリョータに「なすりつける事が出来ない状態」で挑ませるつもりで場所まで案内した。



 * * * *


「早速だが1人づつ、スライム1匹を倒して貰いたい」


「全員で挑んだ方が早いのでは有りませんか?」


「それだとFランクでは無い者を把握できないだけでなく、

 適切ランクのクラスに送り込めず、

 苦戦を強いられ留年する事になるが…

 それでもいい…「1人1人でお願いします!」」


 本来なら、先生役の団長の言葉に言葉を重ねる事は許されないのだが、今はランクを決める試験中。


 処罰を受ける対象になってないのでスルーされはしているが、団長の中では「処罰対象」として注意カードが刻まれて行き、注意10で処罰…とすることが決まったのは内緒。


「では自信ありげな…お前から討伐を開始して欲しい」


 そう指摘されたのは、リョータに対して「如何様」だの「不正してる」だのと私語が絶えなかった騎士爵の子息。


 スライムは攻撃性が低い為、どれだけ実力が無くても剣術さえ身について居れば、対応できる魔物…にも関わらず子息は、ガタガタと震え中々いどみ始めなかった

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