第421話:クラス分け討伐(1)

 ガタガタ震え討伐を開始しない騎士爵の子息に団長は


「あれ程、リョータに対して、

 如何様いかさまだの不正してるだのと文句を言っておいて、

 討伐すら始めないのは何故かね?」


 と白けた声音で質問してみた。


 自信満々な態度が一変、スライムと言う弱い魔物に対峙する姿勢だったのに、戦々恐々しているのが逆に不思議でならないからでも有った。


「いや…その…えっと…ス、スライムは…

 初めてでして…」


「誰もが初めてなのだが?

 それとも冒険者の初心者のように薬草採取から始めるかね?」


 スライムすら怯える子息が、薬草を採取する為に踏み出せるか?と言えばリョータ的には否だ。


 採取と言われても動く気配を見せない子息…。


「他の生徒が待って居るし…

 自分のランクを知りたがって居た…

 君、名前を言ってから挑みなさい」


 3人しか居なかった「実力知りたい組」の1人が前に出て


「アントニーです!」


 と発言。


 騎士らしくショートソードを抜身にし、サク・・・とスライム1匹を討伐。


 勿論、怪我すらする事なく「あっさり」と倒せてしまう。


「流石にFでは無さそうだな」


 その剣技を見た団長は流石だなと、更なる魔物への挑戦者としてリョータの傍へと行かせる。


「じゃあ次」


 実力知りたい組…残り2人も、あっさり討伐を出来てしまい、ランク知りたい組は討伐を終え、残されたのはリョータにランクを決められたくないと意地を張って居た爵位を持った子息たち。


 スライムに躊躇った騎士爵の子息を除く6人のうち、討伐に挑めたものの倒せなかった者が5名、残り1名は切り傷を負って倒せたが、Eランクの魔物は無理そうだと判断できた。


「はあ…最初の10名でF適性者が4名。

 Eランクへ挑めそうなのが3名とは…な」


 心中、お察しします…。


「団長さん、このままEランクの魔物に挑ませるの?」


「そう…だよな。Eに挑めそうなのが3人しか居ないのだから…

 一度、戻ろう」


 まあ、そうなるよねー。


 Eの魔物に挑みたいで有ろう3名の騎士候補たちは、団長の意見に従い、他の生徒たちが待つ場所へと戻り、待機する事となった。


 怪我を負い、Eに挑めないと判断された子爵はFが決定し、G確定者は5名と散々な結果となってしまい、第2陣の結果が不安視され始めた。


「試験的に10名で挑んでみたが、F適性者が…

 余りにも少なすぎてEランクを判断する事なく戻らざるを得なくなった。

 したがって、残りの生徒、全員でFランク生息地へ向かう事にした」


 ざわざわ…とざわめきが起きるが、意気消沈して居る5名の姿を見たEランクに挑めそうな生徒たちは「なるほど」と納得し、自分たちがFで間違いないと「思い込んで居る」者たちからは失笑が起きて居た。


「・・・笑ってられるのも今の内だ…」


 真剣な眼差しで失笑して居る生徒を見ると、第2陣で挑む筈だった10名の生徒と残りの生徒。


 ゴクリ…と唾を飲みこみ、自分たちがGになる未来は無いと思い込んだまま、討伐地域へと引率されて行くのだった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る