第422話:クラス分け討伐(2)

 第2陣として行く予定だった10名を含む騎士科に適性あり、と判断されて居た生徒たちが引率された先は、Fランクの魔物くらいしか居ない地域。


 にもかかわらず、Aランクの魔物に挑むかの如く緊張して居るグループが内心、ヒヤヒヤしながら周囲を警戒して居た。


(お、俺たちが挑まされるのってAランクだよな?)

(たっ…多分…そうだろ?!俺たちの実力はS相当の筈)

(そうなると挑まされるのはAが最初…だよな!?)


 話し合って居る内容は頓珍漢とんちんかんで、意味不明な会話だと遠い目で見て居たのはリョータ。


 あー…実力を勘違いしてる阿呆が此処にも居た。


 どうしたら自分たちがAだと思えるんだろうな。


 表面上は何食わぬ顔をして居るが、内心は盛大な溜息を吐き出して居る。


「次々に挑ませて大丈夫だと思うか?」


 団長はリョータに、1年生と2年生で、実力が備わってなさそうな生徒たちの適性を見る事に対しての戸惑いをリョータに投げかけて居た。


「そうですね…挑ませたとして、

 討伐できそうにない…

 と判断した人たちをどうするか…

 先に決めないと、混乱が起きるかと…」


 そう…。討伐が出来ない阿呆も含まれて居る為、出来そうにないと判断した人物を保護しなければ大けがにつながってしまう。


 だからこそ「何処で待機させるか」などの決め事は、初めにした方が良いと提案したのだ。


「…確かに…そうか。

 討伐できる者は例え、多くのスライムに囲まれても対応できるが、

 逆の者はスライムなのに怪我をし、

 それをリョータの所為にしてしまいそうでは有るな」


 責任転嫁…なんて、しなきゃいいものを…してしまう阿呆は数人いそうな事に団長もリョータも気づいて居る。


 だからこそ「出来そうにない人物の扱い方」を決めなければならなかった。


 周囲の安全を守る為…と言う形で上級生(3年生以上)の生徒の一部が、付き添ってくれて居る。


 その中でもズバ抜けて実力が団長に近い生徒が


「でしたらリョータ殿は魔法にもけておられるようなので、

 安全確保の簡易小屋…土で作られた小屋を用意して、

 そこで待機させるのは駄目でしょうか?」


 と提案して来た。


「…確かに魔法にも長けて居るが…

 こんな土が無さそうな場所で作れるか?」


 聞かれたリョータは「あっさり」と


「出来ると思います」


 と答え、それを聞いた阿呆どもは


「「「はぁ?!流石に如何様で作られた小屋は嫌だ!」」」


 と反論した。


「未だ如何様と言うか!」


 怒りが込められた言葉にビクリと肩を震わせた阿呆ども。


「ちなみにリョータ」


「どれくらいで作れるか…ですか?」


「ああ。どれくらいの時間が必要だ?」


 そう聞かれた瞬間「ここって時間の呼び方日本と同じだっけ?!」とパニくった(パニックになった)が、ナビから「同じです」と回答を貰い、安心した状態で答えを返す。


「簡単な形で良いのなら、5分くらいだと思うけど、

 僕も時間を計って作ったりした事ないから、

 確実に5分です…とか言えないよ?」


 その言葉を聞いた阿呆どもは、リョータを疑いの目で見て疑問の声を上げる。


「そんな簡単に作れる訳ないだろう」

「そうだそうだ」


「…作る所を見た訳では無いのに、

 どうして断言できる?」


 ひんやりとした空気が流れ、ガクガクと震えだしたのは阿呆たち。


 団長さんが氷の魔法を無意識で放ったようだ(あーあ、し~らないっと)

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