第223話:リョータの願い事

 一応、魔物の報告は終わったから聞いてみても大丈夫かね?


「あのね団長さん」


「どうした?」


「食事の量が多くて食べられなかったんだけど、

 その事でも僕、絡まれたんだ」


「「何たること・・・」」


「でね?これから先も絡まれる可能性、

 あるよね?」


「そうだろうなぁ…」


「それでね、

 自分で食べられる量の食事を

 持って来たら駄目かなぁ」


 異世界こっち日本あっちの弁当と言う言葉が存在するか、知らんから説明がめっちゃムズい。


「あぁ、弁当を持って来たいって事か」


 弁当って言葉、あるんかーい。


「うん…だめ?」


「許可を出したとして、

 作って来れるのか?」


「多分だいじょうぶ!」


 機械を購入すれば、材料いれたるだけでパンや御飯は勝手に作ってくれるしな(米の存在は確認してないけど…)。


 リアムさんは転生者で35のオッサンが中身って知らないからね、確実に「大丈夫!」なーんて言えないから「多分」としたけど・・・。


「団長、

 その…リョータは何処かしらの令息なのですか?」


 あー…侯爵サマとか公爵サマのメイドに作って来させるのか?って聞きたいんだろうけど、孤児だって知ったら仰天せんかね?


「いいやリョータは、

 記憶喪失の孤児だが、

 覚えている可能性があるからな、

 許可は出しておいても構わんだろう」


 リアムはリョータが予想した通り、驚愕の顔つきになったが、追及する事はしなかった。


「・・・記憶をなくして…

 スタンピードを終息させた猛者…。

 ヨセフが何者かと

 疑いをかけてしまうのも仕方ないですね」


 どう言う意味?元副団長さんは何かしら問題を起こし続けてたって事なのか?


「リョータが不思議がってるから説明するが、

 ヨセフは元々、問題を起こす騎士でな。

 ただ処分を下す程の問題では無かった為、

 今までは放置するしか無くてなぁ」


「・・・うわぁ…」


 マジで問題を起こす騎士だったのか…。


「まあ、食事の事は許可を出しておくから、

 心配せず持って来い」


「ありがと!」


 言質は取った!後から何か言われても、団長さんの許可を貰ってるって言えば、反論して来ないだろう。


 でもなぁ…今まで巻き込まれまくって来てるから、未だ巻き込まれる可能性あんの?


 それだと落ち着いた学生生活、楽しめぬとかせぬ!


「だがリョータ」


「絡まれる可能性があるって言うんでしょ?」


「あ、ああ。そうだ。

 出来れば爵位を持つ者の後ろ盾があれば、

 絡まれる事は無いんだが、

 それはそれで面倒ごとになりかねん・・・か」


「大丈夫だよ?

 団長さんから許可を貰ったって言えば、

 それ以上、何も言われないだろうし…」


「言われないと何故、断言できる?」


「それは元々ぼく、

 小食でね残しちゃった事があって、

 案内の先生が減らして提供しようって言ってくれて、

 その事を絡まれた時に出したらそれ以上、

 何も言われなかったんだ」


 不運・・・としか言いようが無いとばかりに、団長と副団長はリョータへの食事提供を止める手続きを書類でしたため、リョータの(個人的)飯テロは決定したようだ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る