第138話:学校へと戻る前に
孤児院で助かった子供をギルドへと送り届け、受付嬢から状況を聞く事にした。
「他の皆は今、何処?」
「町中を回って貰ってるけれど、多くの市民が…」
「・・・報告があったんだね」
多くの犠牲者が出ている様を見たであろう冒険者たちは、他にも犠牲が出る可能性を考え、アヴェル側では無い方角に住む住民を領主邸へと避難させるべく動いてくれていると言われた。
「全員が誘導に回らないようして貰ってはいるけれど、
手が足りないのよね」
「一応、僕の従魔を領主邸に向かわせたから
騎士が動いてくれるとは思います」
「魔道具でも知らせてはいるのだけ
「状況を教えて欲しい!」
…ど?!」
受付嬢の言葉に重なるように声が聞こえ、見ると数人の騎士が第一陣として来てくれたようだった。
「孤児院は1人の生存者を残し全員が息絶えておりました。
多くの市民に犠牲が出たと報告されたそうです」
「・・・君がフェンリルの使役者だな?」
「はい。
フェンリル小桜を騎士様の元へ向かわせたのは僕です。
恐らく次に狙われるとすれば学校かと…」
「「「なっ?!」」」
「どうしてそう思うのだ?」
騎士団長ディラン・マルティネスが問いただした。
「目撃した女の子の証言を聞き孤児院を目指し向かいましたが、
1人の子供以外は生きてませんでした。
そして子供を狙ったと言う事は、
レベルが低い子供しかいない場所を狙う可能性があると…」
「まさか…自分の実力を認めさせる為、
弱き者しか
「その可能性もあるかと…」
「
学校を目指して人か魔物かを把握しなければならないな」
副団長に指示を出すと、無事な市民を領主邸で保護する為に、第2陣を向かわせてくれる事となった。
「僕は一刻も早く魔法学校に戻って、
先生に生徒の避難をお願いしなければ…」
「学校なら緊急連絡の魔道具がギルドに無かったか?」
「え?!あるの!?」
「え、えぇ。
直ぐに連絡しますわね」
職員さんが連絡入れてくれると言うので、俺は騎士団とは別ルートで学校に向かう事にした。
* * * *
事が起きる少し前。小桜が向かった騎士詰め所にいた騎士side~
何かを咥えた物体が、一目散に詰め所を目指す姿を見た時は襲来か?!
と身構えてしまったのだが、その生き物は首に従魔の証が嵌められており、俺の前に来ると大人しく「おすわり」したのだ。
「ん?!従魔…?何を咥えて…」
どうやら持って(咥えて)いたのは紙の様で、中を確認すると
『アヴェル側の門で異変発生。
子供らが狙われる可能性あり。
魔道具で知らせる術すらなく蹂躙された可能性』
と書かれており、直ぐに団長へと知らせ第1騎士団が先行して動いたのだ。
* * * *
孤児院へと戻ったリョータは足下に視線を落とした。
「・・・やっぱり・・・」
足元には武器から滴り落ちた血液が、犯人の歩いたであろう方向にポタポタと印を残してくれているのだ。
「これなら追えるな」
血液
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます