第167話:出された課題は早急に片付ける

 百科事典なみの厚み(約5cm)がある問題に、国語辞典なみ(約2cm)の回答。


 夏休みの宿題も初めのうちに終わらせて、遊びまくれる状態にしていた経験から、今回、出された課題さっさと終わらせてしまうべく、右側に解答用紙を置き左側に問題用紙を置いて1枚目に目を向けて点になる。


「・・・何これ・・・。

 普通、問題って2~3行くらいで終わるよね?

 1問につき1ページとか…どんな苦行だよ!」


 誰もいない森の中にリョータの叫び声が響く事はなく、不可視の魔法に阻害された室内だけに響いた。


あるじ、一体どうなさったのです?】


 いや…。


 学校から課題を渡されたんだけどね、1枚に1問とか有り得ない状態で出されてたんだよ。


【ま、まあ・・・(何とも規格外な事柄ですこと)】


 終わらせるけどさ読むのに時間かかりそうで嫌になりそう。


 視線は1問目に注がれ読み解いて行くのだが、途中で「あれ?」と気づく。


「ん?何だか途中で答えに気付いたんだけど…

 書けばいいの・・・え・・・」


 解答用紙に目を向けると、そこには回答が既に用意されており、選択肢を選ぶだけで良いように工夫されているのだ。


「ふ・・・ふ・・・巫山戯ふざけてんのかよ!

 こんな4択とか普通、させねーだろーがぁ!!」


 読まずとも4つの答えから「これかな?」と「単純に選んで」も「答えが出る仕組みになっている」事に怒りが込み上げて来たのだ。


「もしかして…厚みがある理由は…

 そう言う事なのか?」


 パラパラと問題集を捲って見ると、1年生から5年生で学ぶ事柄が書かれているように思えた。


 そして解答用紙に厚みがあるのそう言う理由


 授業に参加できなくなる可能性を考えて、「卒業までに学ぶ事柄」を明記したってところか?


 となると俺は魔法学校での勉強は出来なくなる代わりに、剣術学校へ途中入学と言う形を取らせてちまうって事だろうな。


「はぁ・・・」


【主?】


「小桜、魔法学校での連携は終わりになりそうだよ」


【どう言う事ですの?】


「この問題集がね5年生…

 つまり魔法学校を卒業するまでに学ぶ事柄が網羅されてて、

 行かなくても勉強した事に出来るんだよ」


【何て事…。

 魔法学校で学ぶつもりが、

 文章と言うのでしょうか?

 その方法のみで学んだ事にされてしまう、

 と言う事ですの?!】


「そう言う事。

 まあ終わらせちまって後は、

 ギルドで冒険者としての経験を積んじゃいますか」


 もう開き直るしか無かった。


 本来なら座学や実習で魔法を学べる筈だった。


 にも関わらず「厄災のドラゴン」が襲来し、ドラゴンとワイバーンに協力を依頼した事が発端となり、自分が強いのでは?と疑われ秘密を持っているのではないかと思われてしまった。


 説明して理解を示してくれる同級生が殆どではあったが、大半の生徒は秘密を知ろうと意地悪な事をして来た、だからこそ自習と言う形で学校から出ざるを得なかった。


 あ~あ、楽しみにしてたのになぁ…。


 魔法で色んな事を学ぶ事、それなのにはねぇよ

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