第244話:試食用と団長用
冒険者対応を終え学園に向かう為、自宅からリッツェ近くの森へと転移で向かい、如何にも歩いて来ました!状態で顔見知りになった門番と挨拶を交わす。
「おはようリョータ、
今から学校か?」
「おはようございます!
うん!!」
「お前の実力なら実技は問題なさそうだがな」
「あはははは」
乾いた笑い声となってしまうのは
門番はリョータの強さを知ってるからこその声掛けだと判っているからではある。
座学にてFランクの魔物からSSランクの魔物…更には伝説級とされているS3つの魔物までの名前を知ると言う授業は、リョータの知識に無かった事柄で、ワクワクと言うよりも「知ってなけりゃ後々、自分が怪我する可能性が出てくる」だった。
フォーストキングってぇ魔物がいるって知らなかったが、すんげぇ強そう。
ま、出逢う事は皆無だろうけど知識として持ってても支障ないやね。
スライム、ホーンラビット、ホワイトウルフ、レッドウルフ、シルバーウルフ…と様々な魔物の名前を図鑑からだけでなく、言葉として知る事が出来、昼食の合図が鳴り響いた。
お?この鐘は昼食か…って事は、団長さん「ワクワク」してんだろーな。
あ~…懸念としてはルーカス様の所、許可が貰えてない可能性があるか。
まあ試食してみないと許可を出したくない、って言われてる可能性を見越して1個だけ、見本は持って来てるけど…どうなんだろね。
リョータは用意周到に準備を怠っておらず、団長への弁当と自身の弁当、そしてルーカスへの試食用をマジックバッグ(元エコ)に収納し、食堂へと向かったのだ。
* * * *
何時もの如く、空きスペースを見つけ腰を下ろした所に
「リョ、リョータ持って来てくれたか?」
と不安そうな声が掛けられる。
「団長さん勿論、持って来てるよ?
はい!」
10個分の量を入れた弁当箱を団長に渡すと、嬉しそうにしながらパカ…と弁当の蓋を取った。
「美味そうだな…」
「何も言われなかったけど、
中身は団長さんが
苦手じゃ無さそうなのを入れてみたんだ…
嫌いな物が入ってたら御免なさい」
「な、中身?」
「あのね、僕が食べてたのって、
見た目は白い三角の形してたでしょ?」
「そうだな」
「中に具材を入れてるんだ」
「・・・」
オカズが入った食事…と言えばサンドウィッチしかエーテルディアには無い。
それなのに異世界にはオカズが入った食べ物が他にもあるのかも知れない、と団長はゴクリと唾を飲み込み
「・・・ありがとな」
と蓋を閉め、副団長や同僚がいる空間へと消えて行き、代わりにルーカスが近づいてきた。
(もしかしたら試食品が欲しいって言いに来たのかね?)
「リョータ殿、すまぬが、
我が家の料理人が見た事の無い品は作れないと言ってな、
試食して見たいと言って来たのだが…」
「試食用に1個ですけど持ってますよ?」
そう伝えると驚きつつも持って帰りたいと望み、料理長がレシピを知りたいと食いつく事になろうとは、この時は判ってなかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます