第128話:時がたつのは早いもので・・・

 入学から1か月。


 魔力操作にも慣れ始めた頃、1年生だけで魔法を魔物に使う授業・・・所謂いわゆる実技の授業が行われる事となった。


 勿論、俺は冒険者ランクとしては表B、裏SSS。


 それを知っているのはごくわずか。


 だからこそ絡む阿呆が増えて行くわけで…今も授業中なのに変に絡みやがる馬鹿がいたりするのだ。


(はぁ…馬鹿に付ける薬は無い…とは言うが、

 この場合、「付ける」じゃなくて「漬ける」だよな)


「魔法の威力が強いってだけで、

 魔物討伐も強いなんて有り得ないよなー」


「頭の中身は阿呆じゃないのか?」


「「「ぎゃはははははは」」」


「そこ!私語は止めなさい!」


「だって先生、

 こいつ絶対に如何様いかさまやってるんですよ?」


(またかよ・・・)


「じゃあ何を根拠に如何様だと断定したのか教えて頂戴」


「「「え・・・」」」


(お?根拠も無しに如何様だって言うの変だもんなー)


「あら、根拠くらい判ってて、

 如何様だと言ってるのだと思ったのだけど?」


「う…じゃ、じゃあ、

 先生は彼が如何様などやってないと言う根拠、

 あるんですか?!」


「えぇ、勿論あるわよ?

 何ったって彼は、

 王都とティングの間にある街道で起きた、

 スタンピードを終息させただけでなく、

 多くのA級冒険者を救ったんですもの」


「「「えぇーーーーーーーーっ!?」」」


(これ…言われるの何回目だろうな。

 あの時に関わった先生…

 どれだけ在籍してんだ?)


 真面目に授業を受けようとしている生徒と、俺を何とか破滅に追い込もうとしている阿呆とに分かれてるんだが、圧倒的に授業を受けたい生徒の方が多いようで…


「先生、そいつらは放置して、

 魔法を使った魔物への攻撃方法を教えて下さい」


 と後押しとも思える援護射撃をしてくれたのだ。


「そうね、行きましょうか」


 1年生…しかも1か月やそこらの生徒がBクラスの魔物と対峙出来る訳も無いので、ランク的にはホーンラビット…見た目はウサギだが額に角を生やした魔物。


 逃げ足も襲い掛かるのも早い為、詠唱を如何に短く素早く発するかが勝負となるのは明白。


 ホーンラビットの群棲地は森の奥では無く街道の近場らしく、そこへ向かって集団移動中なのだ。


「まずは君が倒して見せなさい」


 俺に突っかかって来た阿呆その1に白羽の矢が立った(ざまをみろ)。


「え…い、いきなりですか!?」


「あら、君は彼より優秀なのでしょう?」


「も、も、も、勿論です!」


 どんだ…あ、美容家の人が浮かんで来ちまった。


 草を食んでいるラビット目掛けて詠唱を始める。


「風よ…魔物の意識を刈り取り、命を奪う刃を・・・」


 詠唱中にラビットは殺気に気付き即座に左へと飛び、詠唱してる阿呆1に飛び掛かって行った。


「うわぁ」


 よけきれず詠唱は中途半端に終わり、左手を負傷。


 精神的にも追い込まれたようで、再起不能になった(らしい)。


「・・・情けない事・・・」


 自信満々で豪語して「これ」では先生ですら呆れるのは致し方ないだろうな

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