第129話:阿呆は増えるよ何人も?!

 阿呆2がガタガタと震えて選ばれまいと後方へと下がろうとしていた。


「駄目よ?

 君だって彼をしいたげたんですから自信はあるんでしょう?」


「うぅっ…」


「ほら、対峙しなければ怪我をするわよ?」


「え」


 ホーンラビットはターゲットを定めたかの如く、俺を虐げた奴らに向かって集団で襲い掛かろうとしているのだ。


 うわ~…すんごい光景だなぁ。


あるじ?助けに行かないのですか?】


 いや助けて欲しいなんて望まれて無いじゃん。


【まぁ…確かに言われてませんけれども…

 これでは…】


 元を正せば俺が如何様いかさましてた…なんて疑ったのが悪いじゃん。


 如何様じゃなくてチートだって言いたいけど、それ白状するなら転生者って事も白状しなきゃならなくなるでしょ。


【そうですわね。

 そうなりますと面倒ごとに巻き込まれまくりますものね】


 折角、巻き込まれ体質から回避できるようになったのにさ、自分から巻き込まれに行きたくなんてねーよ。


 真面目に魔法で討伐できるよう学ぶ人たちでさえ、彼らを助けようとは思えなかった。


「自業自得ですわね」「あぁ身から出た錆だ」


「馬鹿の一つ覚えとも言うか」「馬鹿は治りませんものね」


 辛辣な言葉が飛び交ってはいるが、ホーンラビットを倒せる生徒の方が大半なので逃げ惑う阿呆たちを助ける気など全く無いのだ。


「・・・ここまで魔法を操れないとは…

 選定の儀も考え直さなければならないわね」


 魔術学校に通う子供の多くは「魔術師」になれる素質があるとみなされた者。


 にも関わらず魔物と対峙して逃げる始末。


 詠唱の省略化「も」授業に入れなければならないのか、と言う顔を先生はしているのだ。


拘束バインド


 先生は、追いかけているラビットを全て拘束し、彼らから殺気を取り除き野に戻す。


 キョトン…とした表情になったラビットたちは棲み処へと戻って行った。


「君たちは彼より劣っていると自覚なさい」


「「「・・・・・・」」」


「未だ何か言いたそうですが、

 彼の冒険者ランクはBですわよ?」


「「「ええっ!?」」」


 いや…偽装でBだけど…SSSなんて言ったら卒倒すっか?


【確実に気絶しますわね。

 何しろ主はラスボス級の強さですもの】


 俺より強い魔物っているのかね。


【さぁ…はぐれドラゴンなんて、

 いないでしょうから、

 主が最強でしょうね】


 小桜は知らないのだが、そのはぐれドラゴンがいるのだ。


 そのドラゴンが後に襲来し死闘を繰り広げる事となるのは未だ先の事。


「はぁ…詠唱も長々として良く、

 魔法剣士を目指そうなどと思えましたわね。

 剣技に魔法を乗せるのに長々と詠唱してたら

 間に合わないと何故きづかないのです?」


「「「あ・・・」」」


 今、気づいたんかーい。って突っ込みたいのに言えぬとかせぬ。


「君たち3人以外の同級生たちは、

 詠唱を短くして対応したと言うのに、

 この差は何かしらねぇ…」


 多分、やる気だと思うけどね。


 俺をる気ならあったかも…って怖っ

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