第130話:落第者多数につき…

 俺が入ったクラスは30人くらい、いた筈なのだが、阿呆や馬鹿が次々と処罰対象となってしまい、実技授業の場に残ってるのは何と10人。


 少数精鋭とも言えるかもしれないが、これ…田舎の分校並みの少なさだよね。


「はぁ…何て事かしらね。

 魔術師の卵として残ってるのが

 たった10名…。

 情けないと言うのか、選定の儀が間違っていたと言うべきか…」


「先生…」


「人数に関しては校長先生と話し合いをしますから、

 皆さんは自室に戻って下さい」


「実技は・・・?」


「処分しなければならない生徒以外の皆さんは、

 ちゃんと詠唱を短くして対峙していたのを確認してるわ。

 だから実際に強い魔物が出たとしても、

 落ち着いて対応できると思うわ」


 流石だな、残った全員の能力を把握してたんだな。


「もし、冒険者として何か討伐に出たいのなら、

 わたくしが授業の一環で向かわせたと言っておきますから、

 自由に動いて構わないわよ?」


「「「いいんですか?!」」」


 お?残った9人全員が討伐に出たいと望んでいるみたいだ。


「自分のランクに合った討伐依頼なら受けて良いわよ」


 そうなると俺はBだからBからAの討伐依頼だな。


 まあ隠してる方だと討伐依頼なんてねぇし。


 全員がギルド方面へと足を向け始めた。


「そうだ、リョータ君」


「はい?」


「ジェームス先生に何か渡さなかった?」


「うん。

 渡したモノあるけど…もしかして…」


「その、もしかよ。

 道具を作る先生が知りたいそうなの。

 だから職員室まで行ってくれるかしら?」


「はぁ~い」


 ちぇっ…学校の授業として討伐行けると思ったのになぁ…。


 トボトボと、残念そうに校舎へと戻る背中を9人の生徒が「何をされたんだ?」と言う表情で見送っている。



 * * * *


 職員室へと到着したリョータを見つけたのは魔道具を作る職人。


「お、お、お前がっ…

 これを設置…いや作った奴なのか?!」


「えっとぉ…

 ジェームス先生に、

 渡した道具を知りたいって言うのは…」


「あぁ俺だ!

 魔道具を作成する専門職なのだが、

 見た事が無い道具だったんでな。

 詳細を教えて欲しい」


「出来れば職員室では無く、

 何処か…

 他の人に聞かれない場所が良いと思うんですけど…」


「あぁ。そうだな。

 じゃあ工房で教えて欲しい。

 案内しよう」


 職人が先導する形で案内し始めた。


 勿論、俺が万が一、次の授業に間に合わない可能性否めない為、ジェームス先生が「特別授業」に出ているとしてくれたのだ。


「まず、どうやったら見る事が出来る?」


「僕・・・

 そう言う詳細を確認せずにジェームス先生の所へ従魔を向かわせたから…

 見てみなければ何とも言えないんです」


「・・・そうか・・・」


 何をする道具かすら判って無い状態で預けられ、色々と試してみたものの稼働せず、ならばと持ってる本人に動かし方を聞けば、稼働確認をしないままジェームスへと持って行ったと言う。


 まあ、待てば動かし方は把握できると考え、職人は自分の工房へリョータを連れ戻ったのだ

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