第127話:糾弾(2)

 鑑定を掛けた教師、ジェームスは鬼人の魔核であったと把握できた。


「・・・紛れも無く、これは変異種を倒し持ち帰った魔核。

 威力が強すぎた故の2等分だとも記録されてるな」


「なっ?!」


(リョータは転移者なのか?)


(正直に答えたら僕、学校から追い出されちゃう?)


(いや、それは無い)


(じゃあ転移者じゃなくて転生者だよ)


 転生と聞いて異世界あちらで一度死亡し、こちらに生まれ変わった、と言う事だろうと即座に理解できた。


(そうか。

 ならばステータスに特典があっても不思議は無いな)


(え?特典って何の事?!)


(魔法が凄かったり魔力が凄かったりしてないか?)


(うん…それは自分でも何で?って思ったくらいには…)


 当事者(荒らした人物)を放置して小声で話し始めたジェームスとリョータ。


「あのぉ…2人して何を・・・?」


「・・・お前がリョータの部屋を荒らした犯人だと言う事を確認してた」


「そ、それは違っ…」


「証拠があっても言い逃れ出来ちゃうのかな?」


「・・・え・・・」


 証拠がある…と言われて焦ったのはA。


「この部屋に何もしてないと思った?」


 リョータが自室を開けると決めた時に、授業が終わったと知るには何かしら施してなければ出かける事すら難しい。


 ならば何か授業が終わったと、知るモノを仕掛けておくのが普通なのだがAは、その考え方に至る事は無かった。


「ま…まさか…」


 ようやく何かしてあったのだと理解できたのか、顔色が青から白へと変化した。


「リョータ、この道具は優秀だな」


「そうなの?僕、

 確認することなく琥珀を先生の所へ行かせたんだ」


 防犯カメラの凄さは転生前の世界で知り尽くしてはいるが、異世界こっちでも本領発揮するか判らなかった。


 それでも保険として設置したら、声が録音されてると知る事が出来た。


「こいつが本をひっくり返したり、

 服を乱雑に扱ったりしたりする姿を確認できてるからな。

 強さの秘密を探ろうとしていたが失敗に終わっていたな?」


「そ・・・ん・・・な・・・」


 ガックリと膝を付きこうべれる姿は、上級生とは思えない程に、情けなさ満載だった。


「リョータ、頼みがあるんだが…」


「先生が彼を見張るから警備の人を呼んで来て欲しい・・・

 合ってる?」


「察しがいいな」


 不審人物がいないかを確認する為に偶然、リョータたちがいる一角へと警備が到着した。


「ジェームス先生…?」


 その声に反応したジェームスは


「あぁ、丁度よかったです。

 Aはリョータの部屋に侵入し、

 勝手に荒らした重罪人ですので連れて行って貰えますか?」


「そんな!先生…恩情を下さい!」


「・・・掛けて貰える訳ないでしょ?

 僕の部屋を滅茶苦茶にしておいて、

 未だに謝罪なしなのに…

 恩情を掛けてくれと良く言えたね」


 如何様いかさまを疑って散らかした。


 だが、如何様では無かった…となれば謝罪するのが本質。


 なのにAは未だ謝罪の言葉を口にしてないのだ。


「まぁ、謝罪されても罪が軽くなる事は無いけど…」


「そうだな…

 人として謝罪しないのは…

 ちょっと…な」


 警備2人によってAは校長室へと連れて行かれ、ジェームスからの報告が成された瞬間、処遇が決まる事となったのだ

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